高速大気海洋境界層流れの力学機構と災害脆弱性評価

2021 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18H03791
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 中区分22:土木工学およびその関連分野
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 渡部 靖憲 北海道大学, 工学研究院, 教授 (20292055)
• 研究分担者: 猿渡 亜由未 北海道大学, 工学研究院, 助教 (00563876) ; 山田 朋人 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (10554959) ; 新井田 靖郎 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (10817703) ; 馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30283675) ; 大塚 淳一 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(寒地土木研究所), 主任研究員 (50540556) ; 志村 智也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70789792) ; 森 信人 京都大学, 防災研究所, 教授 (90371476)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 水工水理学 / 海岸工学 / 海洋工学

研究成果の概要

暴風時の風波砕波の発生に伴う大気海洋境界層流れの力学的，熱力学的影響を評価可能な数値モデルを開発し，波面上の乱流構造の遷移，熱境界層の発達，砕波下の表面更新，気泡混在流れが海面抵抗，運動量輸送に与える物理機構を提示した．高速風洞実験によって，暴風化で放出される飛沫サイズ分布と速度および混入気泡サイズ分布と速度を計測する手法を提案し，これらと海面抵抗およびバルクパラメータとの関係を提示した．混入気泡からの気体の溶解を経た大気‐海洋気体輸送への影響，気泡のボイド率に応じた新たな抗力モデルを提案し，砕波下の気液混相流の理解が大きく進展した．現地観測により台風下における砕波，熱輸送の特徴抽出を行った．

自由記述の分野

海岸工学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究で開発した砕波波面を挟む気液乱流境界層流れ，混入気泡と白波形成，そして熱境界層流れを再現する一連の数値モデルは，砕波現象のさらなる理解と砕波が与える大気‐海洋相互作用のさらなる解明に向けて大きな学術的貢献を与えるものである．また，新たに開発した飛沫，気泡の径および速度計測法は，従来のパラメタリゼーションで評価し得なかった物理量を提示し，暴風下の海洋のステートを記述する新たな学術的展開と海洋境界層流れ，および海象の予測を通した社会的貢献が期待できる．さらに現地観測を通して明らかになった台風下における砕波乱流混合とエアレーションの大気‐海洋間熱輸送に与える影響は海洋環境評価に貢献する．