研究課題
江戸詰めの武士などが記述していた藩日誌などに記載されている過去の天気情報は、近代的な機器による測定が可能になる前の日々の気象状況を知る重要な資料である。以前の研究では、日記に記載された天気から換算した雲量を同化することで、過去の気象を高い時間分解能で復元できる可能性が示されていた。しかし、観測された天気情報は本質的に偏りが生じており観測値が正規分布していないものであるということが、データ同化の理論上の基本的な仮定に反しており、少なからずデータ同化の性能に悪い影響を与えていることが予想されていた。本研究では、非正規分布である雲量データを正規分布に近似させるガウス変換(GT)手法を適用し、日本国内の無作為に選んだ15の観測点を用いて観測システムシミュレーション実験(OSSE)を実施した。グローバルスペクトルモデル(GSM)とローカルアンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)を用いて、観測誤差の大きい雲量を同化する実験を行ったところ、対流圏中層において、風の東西・南北成分、温度、比湿の2ヶ月間の二乗平均誤差(RMSE)は、GTにより1%~10%改善することが確認できた。また地表面付近では、全雲量、地表面気圧、降水量、下向き日射量の2か月間のRMSEが、それぞれ2%~5%ほど改良した。降水量のみ30%近く改良したが、GTによってバイアス除去の効果も得られたことが大きいと考えられる。加えて、GTの効果は晴天時に顕著であることも示された。これらの結果は,過去の日記に記載された古天気情報を用いた高解像度の歴史的気象復元におけるGTの可能性を示すものである。そのほか、プロキシデータ同化研究も着実に進み、当初の目的であったミレニアム大気再解析プロダクトのための手法の開発を達成できた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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