研究課題/領域番号 |
18H03801
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村尾 修 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (70292753)
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研究分担者 |
福留 邦洋 岩手大学, 地域防災研究センター, 教授 (00360850)
泉 貴子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00790354)
姥浦 道生 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20378269)
目黒 公郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40222343)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 南海トラフ地震 / 立地適正化計画制度 / 耐震補強推進策 / コンパクトシティ |
研究実績の概要 |
本研究は、「A. 震災復興の検証」、「B. 国内各地の地域特性と災害リスクの実態把握」、「C. 都市の誘導施策の提案と21世紀の未来像」の3つの大テーマおよび7つの小テーマにより構成される。 「A.」では、主に大槌町、陸前高田市、南三陸町、女川町の4市町村を中心とした東日本大震災被害状況に基づく沿岸市町村の津波リスク評価を行った。また、全国市町村ごとの住宅分類についてデータを収集し、復興過程を県ごとおよび1999年台湾集集地震、2004年インド洋津波と共に定量的に比較した。それに加え、岩手県久慈市や石巻等における復興上の課題について分析した。 「B.」では、仙台防災枠組の指標に基づき地域特性評価を行うため、既存研究について調査した。そこでは、気候変動と災害を合わせて、都市がどれだけ気候変動と災害に脆弱かを評価した事例などがあるが、その後、こうした評価がいかに今後の防災や気候変動対策の向上や強化に役立ったかについては調査されていないことが分かった。また、「各地の地域コミュニティ状況の把握」について、指標となる要素の検討を行った。市町村単位で複数の都道府県を分析することにより、その着目点、分析方法を用いて日本全体にも適用、応用することを目指し、小学校の統廃合、消防団・自主防災組織、医療、祭事関係を軸とすることとした。 「C.」では、立地適正化計画と個別公共施設再編計画との関係性を把握し、立地適正化計画に基づく個別都市施設の誘導効果の実態を明らかにした。その結果、概ね公共施設の立地誘導が図られていること、一方で部局間調整が不十分なため誘導が図られていない事例が見られること等が明らかになった。 また、研究分担者との研究報告会を8月新潟県長岡市、2月に富山県富山市にて開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度中に研究分担者との当該研究報告会を2回開催した。その中でそれぞれの役割分担について進捗状況を報告するとともに情報共有し、おおむね順調に進展していることが確認できた。 報告会開催時には、2004年の新潟県中越地震で甚大な被害を受けた山古志村と小千谷市を訪れ、被災直後からこれまでの復興過程や防災の取り組みについて情報収集した。また、富山市が行っているコンパクトシティ政策実施状況を視察、コンパクトシティ形成の実態を把握することができた。 9月には2018年度に現地視察した大分県佐伯市において、市民向けの防災に関する講演会講師を務めた。 それらを契機に行政関係者との連携も更に深まり、次年度以降の展開が期待できる状況となっている。 当該年度のこうした研究成果として、4編の査読論文(うち英文論文1編)が採択されており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は引き続き情報収集やデータ整理を行いながら、被災地復興の年表作成、地域ごとの時系列分析、建物倒壊危険度変遷の分析、都市計画関連制度の評価と課題抽出を進め、都市誘導施策の新たな提案に取り組む予定である。 具体的には、「A. 震災復興の検証」では、住民基本台帳・国勢調査等をもとに人口動態の調査、復興基金の検証、女川・東松島の建築着工動向、防災教育関係を分析する。 「B. 国内各地の地域特性と災害リスクの実態把握」においては、e-STATを活用し、全国的に把握できるデータを集計、分析する。また、これまでに地域評価を行った研究者にヒアリングを行い、当該研究課題に最適な地域評価指標について検討する。 「C. 都市の誘導施策の提案と21世紀の未来像」において、立地適正化計画制度による都市機能・都市的土地利用の誘導効果の評価と課題の抽出を行い、立地適正化計画策定後の開発動向の変化や公共施設の誘導効果を明らかにする。 得られた研究成果は、都市計画学会、地域安全学会、日本地理学会、アジア防災閣僚会議、APRUマルチハザードシンポジウム等で国内外に発信する予定である。
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