研究課題/領域番号 |
18H03803
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野口 貴文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80208321)
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研究分担者 |
兼松 学 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (00312976)
北垣 亮馬 北海道大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20456148)
松田 拓 三井住友建設株式会社(技術本部), 技術本部, グループ長 (40602214)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ゼロセメント / 超高強度 / 高炉スラグ微粉末 / フライアッシュ / 膨張材 / アルカリ刺激剤 / 高性能減水剤 / 充填率 |
研究実績の概要 |
本研究は、ポルトランドセメントを用いることなくハイパフォーマンスコンクリートを製造するための技術開発を行うことを目的として、全体で8つのフェーズにより構成されており、当初の計画ではフェーズ3までの研究を行う予定であったが、2018年度は、フェーズ1(各種微粉末・各種骨材の性質の確認)、フェーズ2(粒度分布・充填率などと流動性との関係の明確化)、フェーズ3(硬化過程の特性の把握)およびフェーズ4(硬化後の力学特性の把握)に関する研究を実施した。 フェーズ1では、各種微粉末については、反応に寄与する非晶質シリカ・非晶質アルミナの含有率を化学分析を行って明らかにするとともに、粒度分布に基づき2種類の微粉末を混合した場合の充填率・空隙率を算定できる手法を開発した。また、化学混和剤の微粉末への吸着特性および微粉末の分散特性についての実験に着手した。さらに、内部養生効果が期待できうる骨材の細孔構造および蒸気吸着特性について確認した。 フェーズ2では、フェーズ1で開発した粉体充填率算定モデルにより求められた充填率とペーストの流動性(フロー値、レオロジー特性)との関係を求める実験を開始した。 フェーズ3では、各種粉体とそれらの混合比率、およびアルカリ刺激剤の種類との組合せ、養生温度が、硬化体に及ぼす影響に関する要因把握実験を行い、各要因の細孔構造の形成および強度発現への貢献程度を把握し、材料の組合せの適合性・不適合性について評価した。 フェーズ4では、フェーズ3の実験結果を基に、ポルトランドセメントを用いることなく、蒸気養生で圧縮強度130MPaを、封かん養生で圧縮強度100MPaを発現できる硬化体を製造するための使用材料、調合および養生条件の一例を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では2019年度に実施予定であったフェーズ4の研究にも着手し、一定の成果を得た。その一方で、フェーズ2において、微粉末の化学混和剤の吸着特性に関する実験は終了できなかった。 研究成果としても、既に当初の目標であった強度100MPaをはるかに上回る超高強度の結果(130MPa)が得られたが、練混ぜが不可能であったり、流動性を有する時間が非常に短く急結現象を生じる粉体・アルカリ刺激剤と化学混和剤との組合せがあったりし、実際の製造における問題点の解決が今後必要なことが明らかとなった。 実験で用いた粉体の種類は、まだ限定的であり、当初予定した粉体全ての検討がなされているわけではないが、化学成分の最適な混合割合を導くための方針は定まった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、パフォーマンスを高めるための化学成分の最適な混合割合を決定すること、および実際に練混ぜが可能で流動性を保持できる時間が得られる化学混和剤とアルカリ刺激剤・粉体との組合せを決定することの達成を第一義的な目標とし、その調合に基づき、硬化特性の把握・改善を図っていくことで、研究は順調に進められ、目的の達成は問題なく図られると考えられる。
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