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2018 年度 実績報告書

半導体レーザー維持プラズマの高効率化機構の解明と宇宙推進機への応用

研究課題

研究課題/領域番号 18H03812
研究機関静岡大学

研究代表者

松井 信  静岡大学, 工学部, 准教授 (90547100)

研究分担者 葛山 浩  山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80435809)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードレーザー維持プラズマ / プラズマ診断 / レーザー分光
研究実績の概要

本年度は,レーザー維持プラズマ(LSP)の生成条件を緩和させるために,シード材としてキセノンガスを利用したLSPの生成を試みた.その結果,キセノンガスをシード材に用いることで,キセノン・水素,キセノン・アルゴンLSP生成に成功した.LSPの生成閾値は,キセノンガス単体では圧力と共に単調に減少するのに対し,キセノン混合ガスでは圧力に対して最小値を持つように変化することが確認された.そして,LSP生成に必要なキセノンガスの最小の封入圧は,キセノン・水素LSPで40.0%,キセノン・アルゴンLSPで7.7%となり,この結果から推測された比推力は両者とも200 s程度となった.またレーザー光の吸収率は両者とも最大40%程度にまで増加した.次にメタンを用いたレーザー維持プラズマ生成条件を検証した.その結果,メタン単体ではLSPの生成に成功しなかったものの,メタン・キセノンではLSPを生成することができた.また圧力をパラメータとしてその生成しきい値を検証したところ純キセノンより低いことがわかった.これはメタンが解離して生成された炭素原子がレーザー光を吸収しているためだと思われる.次にペニング電離効果を狙ってヘリウム・アルゴンでLSP生成実験を行った.その結果,アーク放電中にレーザーを照射した時は発光領域が大きく広がるのを確認できたがアーク放電を切ると同時にプラズマも消滅した.したがって維持はできなかったがレーザープラズマは生成できていることが確認でき今後の高出力化による検証が期待できる.
一方で並行して数値計算コードの構築を行い,二次元軸対称モデルでのアルゴンLSPの生成可能条件を検証した.その結果,CFDでは2MPa以上でのLSP生成が可能であったが,この結果は実験と矛盾(6.5MPaでもLSP生成はできていない)するため,ビーム形状などを検証し直す必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はシード剤効果(キセノン),原子線吸収効果(メタン),ペニング電離効果(ヘリウム)の全てを検証することができた.この結果は従来の1kW級半導体レーザーを用いて行ったものであり,本年度導入が完了した4kW級半導体レーザーを用いた実験での作動条件を決める上で非常に有用なものである.一方,数値計算コードに関して,結果は未だ実験と一致しないものの基盤となるコードの作成は終えており,今後はビーム形状,輻射モデルの再検討などより詳細なモデル化を詰めていく段階である.

今後の研究の推進方策

次年度は導入を終えた4kW級半導体レーザーを用いてLSP生成実験を試みる.まず計算コードの基準となる純アルゴンでの生成を試みる.次にキセノンを用いないメタン及びヘリウム・メタンでの生成条件を検証する.着火方法に関して,従来はアーク放電を用いていたが,宇宙機搭載に向けてより現実的な高周波放電,パルスレーザープラズマを用いた手法を検証する.この際,高速カメラにより着火状況を観察することでLSP生成条件を決めるのは何かを見極める.
数値計算モデルはビーム形状をガウシアンから半導体レーザーの楕円に合うよう改良する.また4kW級半導体レーザーによりアルゴンLSPの生成に成功すれば閾値だけではなく,レーザー計測による温度,電子密度測定結果を用いて検証する.

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Generating Conditions of Argon Laser-Sustained Plasma by Disk, Fiber and Diode Lasers2019

    • 著者名/発表者名
      Matsui, M., Ono, Y., and Mori, K.
    • 雑誌名

      Vacuum

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 100 kWファイバーレーザーを用いたレーザー打上システムの実現可能性の検証と将来の大量輸送システム2018

    • 著者名/発表者名
      亀井知己, 小野貴裕, 松井信, 森浩一
    • 雑誌名

      宇宙太陽発電

      巻: 3 ページ: 38-45

    • DOI

      https://doi.org/10.24662/sspss.3.0_38

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Characterization of Hypersonic High Enthalpy CO2 Flows by Laser Driven Plasma Wind Tunnel2018

    • 著者名/発表者名
      Matsui, M., Katsurayama, H., Komurasaki, K., and Arakawa, Y.
    • 雑誌名

      Frontier of Applied Plasma Technology

      巻: 11 ページ: 41-46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of Time Resolution of Laser Heterodyne Interferometer for Electron Density Measurement2018

    • 著者名/発表者名
      Yamada, T., and Matsui, M.
    • 雑誌名

      Frontier of Applied Plasma Technology

      巻: 11 ページ: 22-25

    • 査読あり
  • [学会発表] Feasibility study of space transportation system using laser susutained plasma as heat source2019

    • 著者名/発表者名
      Kamei, T.
    • 学会等名
      12th International workshop on Plasma Application and Hybrid Functionally Materials Joined
    • 国際学会
  • [学会発表] 高出力半導体レーザーを用いたアルミナ還元システムに向けて2019

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      2018年度アルミサイクル研究会
  • [学会発表] 4kW級半導体レーザーの導入と安全管理体制について2019

    • 著者名/発表者名
      松井信
    • 学会等名
      第59回航空原動機・宇宙推進講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] CWレーザー推進の打上デモに向けた打上性能評価と熱源のプラズマ生成実験の現状報告2019

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      平成30年度宇宙輸送シンポジウム
  • [学会発表] Investigation of influence of laser power and heat source temperature on launch capability of laser propulsion2018

    • 著者名/発表者名
      Kamei, T.
    • 学会等名
      Inter Academia Asia 5th Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation of Launch Performance of Laser Propulsion Considering Energy Loss due to Beam Expansion2018

    • 著者名/発表者名
      Kamei, T.
    • 学会等名
      15th Joint Symposium between Sister Universities in Mechanical Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] レーザービームをエネルギー源とした宇宙輸送システムのレーザー出力と打上性能のスケール則の調査2018

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      第6回応用物理学会名古屋大学スチューデントチャプター東海地区学術講演会
  • [学会発表] レーザープラズマを用いた4kW級レーザー推進デモ機の設計2018

    • 著者名/発表者名
      丹羽亮貴
    • 学会等名
      第6回応用物理学会名古屋大学スチューデントチャプター東海地区学術講演会
  • [学会発表] CWレーザー推進の打上性能評価と推進剤加熱温度が打上性能に与える影響の調査2018

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      第55回日本航空宇宙学会中部・関西支部合同秋季大会
  • [学会発表] レーザープラズマを用いた4kW級レーザー推進デモ機の設計2018

    • 著者名/発表者名
      丹羽亮貴
    • 学会等名
      第55回日本航空宇宙学会中部・関西支部合同秋季大会
  • [学会発表] レーザー推進機の打上デモに向けた打上性能評価とコストを考慮した実現可能性の検証2018

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      第62回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] 100kW級レーザー打ち上げ機に向けた8kW級デモ機の設計案2018

    • 著者名/発表者名
      丹羽亮貴
    • 学会等名
      第62回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] レーザー推進への応用に向けたメタンガスを用いたレーザー維持プラズマの生成実験2018

    • 著者名/発表者名
      小野貴裕
    • 学会等名
      第62回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] レーザー軌道打ち上げ機による大量宇宙輸送2018

    • 著者名/発表者名
      葛山浩
    • 学会等名
      第79回応用物理学会春季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] メタンガスを用いた半導体レーザー維持プラズマの生成2018

    • 著者名/発表者名
      小野貴裕
    • 学会等名
      第50回流体力学講演会
  • [学会発表] 2種類の加熱方式を用いた複合型レーザー推進機の打ち上げ性能評価2018

    • 著者名/発表者名
      亀井知己
    • 学会等名
      第50回流体力学講演会
  • [学会発表] 高出力CWレーザーを用いたアルゴンレーザー維持プラズマの生成実験2018

    • 著者名/発表者名
      小野貴裕
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会第49期年会講演会
  • [学会発表] 炭素繊維群熱交換器を用いたCWレーザー推進に関する実験的研究2018

    • 著者名/発表者名
      江口敬祐
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会第49期年会講演会
  • [備考] 研究室HP

    • URL

      http://ars.eng.shizuoka.ac.jp/~matsui/index.html

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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