研究課題/領域番号 |
18H03818
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 太裕 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00344482)
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研究分担者 |
島 弘幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40312392)
梅野 宜崇 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (40314231)
井上 昭夫 近畿大学, 農学部, 教授 (80304202)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 空間周期性 / 構造安定論 |
研究実績の概要 |
私たちの身の回りにある自然現象には、数多くの不思議な「空間周期パターン」が何気なく存在する。しかしその何気ない空間周期パターンの発生には、いずれも何らかの合理的意味・力学的必然性があると考えられる。本研究はこの空間周期パターンを形成する性質(=空間周期性)を構造力学・構造安定論的見地から深く洞察し、その存在理由・根源的意味を理論的に解釈するとともに、その新知見を基盤とする従前まで当たり前とされた概念を覆す社会・構造システム設計思想の構築を目的とする。この研究目的を達成するために、5年間の研究計画の第3年度である2020年度も初年度、第2年度に引き続き研究代表者・分担者間で密な議論を行い以下の空間周期性に関わる構造力学研究を実施し、主に以下の成果を挙げた。 ・竹の節構造にみられる空間周期性を有限要素解析により詳細に検証し、節が力学的に変形を拘束する影響範囲の導出を行うとともに、空間周期性を支配する可能性のある新しい無次元パラメータの存在があることを明らかにした。 ・多層ナノチューブ構造の曲げにおいてみられる圧縮側の周期的な波状変形モードを、理論解析によりモデル化し、その特性をシンプルな式で記述することに成功した。 ・自重座屈の観点から、樹木の限界高さに関する力学理論を構築することを試み、テーパーがついた(上に向かって細くなる)形状のタワー構造における限界高さの評価式を新たに導出した。 ・これまで継続的に実施していた自動車の走行により自然発生する周期的な凹凸形状路面に関するこれまでの理論、実験成果を取りまとめ、海外学術雑誌に公表した。 ・新たに双子葉植物の茎断面にみられる維管束配列の空間周期性に関する力学的インパクトの検証に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で大学での研究活動に制約を受ける時期があったものの、年度を通してみると概ね当初想定していた研究計画を遂行することができた。さらに、これらの成果の多くの部分を外部に論文発表、研究発表をすることができた。このことから上記区分が妥当であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
第4年度となる2021年度においては、今年度実施した研究の深化、新たに着手した研究の展開、さらに第3年度に実施した研究のうち論文、学会発表として未公表部分の公表を積極的に行っていく予定である。
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