研究実績の概要 |
動的モデル構成基盤を利用して仮想サプライチェーンを構成し, さまざまな製造シナリオに動的に対応した仮想生産を実行することにより, 顧客満足度や生産性, 環境負荷, リスク対応, 安全性の観点から, 製造シナリオの検証, 製造製品の構成, サプライチェーン構成, 製造作業内容の事前検討, 製造作業の計画通りの実行を支援する情報環境の構築に必要な動的モデル構成環境を提供することを目的として, 2018年度(平成30年度)は以下の2つのサブテーマに取り組んだ. (1) サプライチェーンにおける階層融合モデルのモデリングとシミュレーション (2) ゲーム理論アプローチを用いた個別顧客の購買行動や人間の意思決定モデルを数理モデル化 得られた知見は以下のとおりである. (1) サプライチェーンの仮想化はスマートサプライチェーンのサイバーフィジカルシステムを構築するための基盤となる. 本研究では, 製造業者モデル, 部品/材料サプライヤーモデル、小売業者モデルの3つのタイプから構成される仮想サプライチェーンモデルの構成とその振る舞いの記述法を提案した. 各エンタープライズの動作を示す各要素はカタログから選択された構成要素により構成される. このモデルの記述方法として, データモデルと数学モデルの統合モデルを構築した. (2) 製品構成に対する顧客の意思決定モデルを反映したゲーム理論モデルによる製品構成とサプライチェーン構成の同時最適化問題をモデル化し, Stackelberg均衡解を得るためのアルゴリズムを構成した. 顧客モデルが線形モデルの場合は多階層意思決定モデルを単一階層意思決定モデルに変換することにより, 同時最適化問題を効率良く求解可能であることを示した.
|