研究実績の概要 |
動的モデル構成基盤を利用して仮想サプライチェーンを構成し, さまざまな製造シナリオに動的に対応した仮想生産を実行することにより, 顧客満足度や生産性, 環境負荷, リスク対応, 安全性の観点から, 製造シナリオの検証, 製造製品の構成, サプライチェーン構成, 製造作業内容の事前検討, 製造作業の計画通りの実行を支援する情報環境の構築に必要な動的モデル構成環境を提供することを目的として, 本研究の最終年度である2021年度(R3年度)は主として, (1) 動的モデル構成基盤の実証実験と評価, (2) サプライチェーンの最適化アルゴリズムの体系化, (3) 階層融合モデルの実プロセスへの適用, の3つのサブテーマに取り組んだ.得られた知見は以下のとおりである. 動的モデル構成基盤の開発においては, サプライチェーンを構成する企業とその振舞いのモデルをe-カタログとして準備し,選択された企業モデルからマルチエージェントシミュレーションのソースコードを自動生成可能な動的モデル構成基盤のプロトタイプシステム構成を構築した. このシステムを用いて,電子部品製造工場を対象として,部品構成,注文量,ロットサイズの変化に対応可能であること, および得られたシミュレーション結果が実用上有用であることを確認した. リアルタイム最適化アルゴリズムの開発においては, 多期間最大被覆配置計画問題に対する効率解法, 2製造業・2販売者から構成されるサプライチェーン構成の解析においては, 均衡解を効率良く算出するアルゴリズムの開発を行った. 上記を含む当該4年間の研究成果をとりまとめ, サプライチェーンを対象としたリアルタイム最適化手法やゲーム理論的アプローチに基づく均衡解の導出アルゴリズムの汎用化と体系化を行った.
|