研究課題/領域番号 |
18H03839
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇治原 徹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60312641)
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研究分担者 |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)
原田 俊太 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 講師 (30612460)
岡野 泰則 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90204007)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 機械学習 / SiC / 結晶成長 |
研究実績の概要 |
当該年度は、次のことを行った。 (1)成長表面のマクロステップ構造を予測するためにKineticモンテカルロシミュレーションによるステップのダイナミクスの計算手法について確立した。また、溶液の流れを成長界面沖合の原子の進行方向にバイアスをかけることで実現した。さらに、成長速度などを予測することも実現できるようになった。 (2)熱流体計算と実験によって、結晶成長界面近傍の温度分布・組成分布・流れ分布とステップ高さとの相関を明らかにした。その結果、溶液の流れ分布がステップ高さに大きな影響を与えることが分かった。さらに、ステップの進行方向と溶液流れとの角度とステップ高さの発展との相関を得ることも行った。その結果、ステップ高さが時間に対して発展する場合と、時間に対して減少する場合があることが明らかになった。 (3)ステップ高さを適度なサイズに維持するためには、(2)の結果によるとステップの進行方向に対する流れ方向を時間に対して変化させる必要がある。しかし、時々刻々と変化する成長条件を実験だけで最適化することは困難である。そこで、結晶表面近傍の流れ方向を予測するモデルを機械学習で構築し、最適な流れ分布の時間変化を実現するための成長条件を半自動的に求めることを行った。その結果、平坦性を維持しつつ成長することが可能となった。最終的には、当初予定の2インチ径を大きく上回る85mm口径の結晶成長にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定では、モンテカルロシミュレーションによって、ステップ高さの時間発展を明らかにし、それをも考慮した予測モデルを構築してから、次年度以降に大口径化に進む予定であったが、モンテカルロシミュレーションによる予測モデルの構築を待たずして、実験と熱流体計算によるマクロステップ高さの予測を可能とし、その結果、最終的に実現する予定であった2インチ以上の結晶成長を前倒しに実現することに成功した。(実際は3インチ以上)しかしながら、モンテカルロシミュレーションの結果のモデル化が、最終的には必要となるため、引き続き開発は行う。また、当初予定を超えた更なる大口径化も推進する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の3つについて行う。 (1)Kineticモンテカルロシミュレーションによるマクロステップの予測: 当該年度は基礎技術に関しては構築したので、実際に計算を行う。 (2)6インチに向けた結晶成長条件の最適化: 当該年度までで、機械学習による予測モデルの構築方法を確立し、最適化のための目的関数も設定できるようになった。今後は、さらに大口径化のための目的関数を構築し、最終的には6インチの結晶成長を目指す。 (3)マクロステップの予測も含めた機械学習モデルの構築: モンテカルロシミュレーションと実際の実験から、実験条件からステップ高さを予測するモデルを構築する。
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