化学結合は物質科学において普遍的な概念であるので、分野を問わず様々な局面で議論されてきた。特に計算科学の発展によって、高精度な結果が得られるようになり、物質設計などに役立っている。一方、化学結合論を実験的に検証する研究は乏しいと言わざるをえない。原子間の化学結合を調べる方法として、熱力学的手法や分光的手法があるが、いずれも多数の原子の平均値を測定するものである。個々の原子の間の化学結合を調べるには、AFMを用いた本手法以外にないといえる。本手法により、個々の原子を化学識別する究極的な化学分析法へと発展させることができる。
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