研究実績の概要 |
1.MOFをシェルに用いた量子ドットの合成:半導体の球状ナノ粒子については、ZIF-8, CPO-27-Mg, MOF-5をCdSe, CdTe, AgInS2ナノ粒子の表面にシェルとして被覆し、十分な発光が得られる事を再現性良く行える状況となった。加えて、CdSeのナノプレートレット(平面ナノチップ)にIRMOF-3シェルと被覆する事で、発光スペクトル幅が8 nmという色純度が究極的に高い発光材料を作製することに成功した。 2.光捕集アンテナによる発光強度増加:MOF-5シェルで被覆したCdSe量子ドットについて、フェルスター型エネルギー移動の理論計算を用いてシミュレーションを行うことにより、粒子表面から数ナノメートルの領域に存在するMOFからエネルギー移動が起きている事を突き止め、両者が直接的に結合しているゆえに効率よくエネルギー移動していることを明らかとした。 3.電気伝導による電界発光素子の作製:昨年度に十分に技術を向上させ、量子ドットの電界発光を着実に行う事が可能となったので、発光効率に影響する量子ドットデザインを調査した。量子ドットコアに被覆するシェルおよび有機リガンドの種類と厚みを系統的に変化させたところ、それぞれの最適値があることがわかった。それを基に最適化した電界発光素子を作製することで、発光効率は数パーセントにまで向上させることができた。 4.欠陥発光からバンド端発光への遷移挙動の解明:AgInS2/Ga2S3コア・シェルナノ粒子のGa2S3シェルをを形成する過程、あるいは形成した後に反応溶液中に塩化物イオンを存在させて加温すると、バンド端発光の発光効率が急激に上昇することを見出した。この処理は、Ga2S3の結晶化を促進するものであり、Ga2S3の欠陥がバンド端発光の高率に影響していることの直接的な証拠となった。
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