フレキシブル基板であるポリイミドシート上に、FeSiB薄膜を作成し、磁化曲線、磁気異方性、更には強磁性共鳴特性が曲げや引っ張りにより、どのように変化するかを系統的に調べた。特に、曲げ率と磁気異方性の関係を詳細に調べ、非常に大きな磁気異方性を誘引できることを見出した。加えて、スピンダイナミクスを詳細に調べ、磁気異方性の強度とダンピング定数の正の相関があることを初めて見出した。更に、FeSiB の特性を高性能化させるため、強誘電体基板上に、磁性薄膜を作成し、磁気特性の電気的制御の可能性を模索した。その結果、同様の磁気異方性の制御や保磁力の制御、ダンピングの変調などが実現されたが、強誘電体基板特有の強い歪に伴い、電圧の使用履歴に依存して、特性が劣化することが確認された。加えて、界面に酸素が発生し、磁性薄膜が化学反応して、特性が変化する傾向も確認された。より、性能を向上させるには、これらの改善が必須である。
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