研究課題
2021年度は我々が世界に先駆けて開拓を進めてきた、MnBi2Se4/Bi2Se3を拡張した、MnBi2Se4/n QL Bi2Se3/MnBi2Se4/Bi2Se3サンドイッチ構造の磁化特性をX線磁気円二色性(XMCD)測定を用いて評価した。nを変化させて系統的な測定を行ったところ、キュリー温度として、n=0の場合は30-35K、n=1,2,3,5,7の場合は20-25K、そしてn=15の場合はヘテロ構造と同じく15-20Kであることが明らかになった。これは2つのMn磁性層間の磁気的な相互作用が系の磁化特性に影響を与えていることを明確に示している。ただ、MnのXMCD信号が単一のMn由来でないことが示唆されたので、今後理論計算と比較しながら複数のMn成分の同定を行っていく。さらにこの磁性相互作用が、非磁性のBi2Se3の電子に媒介されていることを予想し、非磁性元素であるSeとBiについてもXMCD測定を行った。その結果、10Tの強磁場下で、このようなintrinsicな磁性トポロジカル絶縁体において、世界で初めて非磁性元素でもXMCDの信号を検出することに成功した。これは紛れもなく磁性層とトポロジカル絶縁体電子の磁気的相互作用をディラックコーンのギャップ以外の元素選択的な手法で初めて明確にできたということである。今後理論計算を用いて、より明確な信号が検出できたSeのXMCD信号に対して、具体的な電子遷移が何であるかなどの検討などを進める予定である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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