研究課題
プロジェクト最終年度の令和2年度は各サブテーマに対して、次の事柄を行った。(A) 3d金属で実験的な機構解明実験がなされていないNiをはじめとした未開拓の材料系の電圧効果を精査し、これまでに行ってきた4d・5d・6p軌道金属の少量ドープに加えて3d金属そのものに対する理解も深めることで、強磁性金属の電圧効果に対する体系的な理解を目指した。具体的にはFe/Ni/MgO系におけるオペランドX線磁気円二色性分光の結果を報告した。これはNiにおいてはCo同様に軌道磁気モーメント機構が支配的であることを強く示唆する内容である。次にFeにV及びAlをドープした超薄膜合金の電圧誘起磁気異方性変調効果を評価した。結果として電圧効果増強は、単にFeに元素ドープを行ってフェルミ準位を変えるだけでは微量しか起きずドープ元素が磁気モーメントを持つときのみ生じることがわかった。本結果は今後さらに電界効果を増強させるためには、MgO等の薄膜誘電体の界面状態を変調することが必要不可欠であることを強く示唆している。(C) 表面を分子修飾したFeの電子状態を実験及び理論の両方から精査した。これにより分子修飾の効果は疑似的に3 V/nm程度の電界がFe表面に印加されていること、そしてFeの電子状態としてはスピン反転項、すなわち電気四極子効果が効いていることがわかった。別の深さ分解XMCD測定からはFeの軌道磁性の変調は界面1原子層に限定されていること及び電子の界面局在性に起因する電子相関が重要であることもわかった。従って軌道磁気モーメント機構のみでほぼ説明できるCoやNiと異なり磁性元素の中でFeは特殊であること、そしてこの性質を活かした界面磁気異方性及び電界効果材料の設計が今後重要となることが見出された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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