研究課題/領域番号 |
18H03889
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田中 拓男 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (40283733)
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研究分担者 |
久保 若奈 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10455339)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタマテリアル / 光吸収体 / 赤外光 / 赤外分光 / 円錐螺旋構造 / 機械学習 / 光熱電変換デバイス |
研究実績の概要 |
独自に開発した3次元Metal-insulator-metal(MIM)メタマテリアルの加工技術を改良して加工精度と再現性の向上を行った.従来の手法ではシリコン基板表面に形成したレジストパターンの側面に金ナノフィン構造を形成していたが,この手法ではわずかな加工条件の狂いでレジストパターンがテーパー状になり,形成される金ナノフィンが傾いてしまうなどの問題があった.そこで,反応性エッチング法を用いてシリコン基板表面に直接凹凸構造を形成し,その側壁に金ナノフィン構造を形成する手法を開発した.この手法では,反応性イオンエッチングのバイアス電圧を制御することでシリコン基板表面に垂直な側壁を持つ凹凸構造を再現性良く形成できるので,これをテンプレートして利用することで金属ナノフィンが傾く事もなく,またフィン構造はシリコン側壁に密着しているので物理的な強度も大幅に向上した.また,3次元円錐螺旋構造を用いた広帯域光吸収体構造については,有限要素法を用いて構造パラメータと吸収スペクトルとの関係をいくつかの構造パラメータの組み合わせについて計算した.そしてその結果を教師データとして深層学習を行ったところ,未知の構造パラメータについても対応する吸収スペクトルを高い精度で予想できることを確認した.また,光熱電デバイスなどの高効率化に寄与する広帯域メタマテリアル吸収体を設計・作製する実験を追加テーマとして実施した.本予算で導入した電磁界計算システムを駆使して広帯域メタマテリアルであるハイパーボリック吸収体を電磁界計算的に設計し,構造サイズや各層の膜厚などのパラメータの最適化を実施した.その後,実際のデバイスを試作してその特性を評価した.その結果,従来吸収体の3倍の吸収量を示す広帯域メタマテリアルの実現に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元MIMメタマテリアル加工手法を改良し,加工精度と再現性が向上した.特に反応性イオンエッチングを新たに導入した事によりエッチングの再現性も向上した.電磁界シミュレーション用の計算機環境についてもさらに計算機の追加を行い,機械学習用の教師データを効率良く生成できるようになった.深層学習の結果を使えば,3次元円錐螺旋構造の構造パラメータを与えるだけで,その吸収スペクトルを推測できる事がわかった.メタマテリアル吸収体の応用技術として,これを熱電変換デバイスの高効率化に展開すべく,新たに研究分担者を追加し,広帯域メタマテリアルのサイズや各層の膜厚などの構造パラメータを電磁界計算を用いて最適化した.そして,設計した構造を微細加工技術を利用して実験的に試作し,設計通りの吸収特性が得られる事を確認した
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今後の研究の推進方策 |
改良した3次元ナノ加工技術と電磁界シミュレーション環境を活用して,広帯域・高効率赤外吸収メタマテリアルの構造設計と試作を継続し,最適な構造を洗い出すとともに,その特性の評価と理論的な限界値との比較を行う.また,熱電変換デバイスへの応用実験については,実際に作製した広帯域メタマテリアル吸収構造を光熱電変換素子をはじめとする光電変換デバイスに搭載し,広帯域メタマテリアル吸収体によって光電変換デバイスの特性がどれだけ向上するかを確認する予定である.
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