研究課題
今年度には、二つのアプローチでの材料開発を進めた。一つは、有機無機ハイブリッドシンチレータの開発である。無機重元素化合物を添加したプラスチックシンチレータでは、当初予期していたことではあるが、添加に伴う消光が顕著であり、アプローチとしては不適切であることがわかった。一方で、無機ナノ粒子を添加したプラスチックシンチレータでは、昨年度と同様、二つの手法で材料開発を進めた。一つの手法では、酸化物ナノ粒子を溶液中で合成し、その後に(あるいは合成中に)ナノ粒子表面に有機分子を修飾した。最終的にはポリマーに分散させて材料を合成した。もう一つの手法では、ゾルゲル法という溶液法を用いた合成を進めた。開発した材料双方とも、発光収率および検出効率で、市販の高エネルギー光子検出用プラスチックシンチレータの1.5倍以上もの高い値を達成することができた。特に、ナノ粒子を添加する側のアプローチでは、このような優れた性能は、ポリマーと添加する有機蛍光体分子の組み合わせの選択により得られたものであり、濃度などの最適化によるさらなる高性能化の余地がある。一方で、有機系の放射線計測材料としては、ラジオクロミック材料について多くの成果が得られた。特に、フォトクロミズムを呈する分子についての利用における高感度化と、熱可塑型プリンタとの組み合わせによる形状制御性の付与についての研究が進展した。さらに、ホウ素やリチウムの添加による中性子感度の付与について、その端緒が得られた。
1: 当初の計画以上に進展している
有機無機ハイブリッドシンチレータでは、発光収率および検出効率で、市販の高エネルギー光子検出用プラスチックシンチレータの1.5倍以上もの高い値を達成することができたため。
今年度には、有機無機ハイブリッドシンチレータの合成条件の最適化によるさらなる高性能の達成と大型化、および有機系線量計材料における中性子感度の付与を主に進める。
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