研究課題/領域番号 |
18H03893
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉田 英一 名古屋大学, 博物館, 教授 (30324403)
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研究分担者 |
丸山 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40363030)
勝田 長貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377985)
南 雅代 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (90324392)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 球状コンクリーション / シーリング / 応用化 |
研究実績の概要 |
本研究では,これまでの基礎研究の成果を基に,天然炭酸塩球状コンクリーションの形成プロセスを応用し,地下備蓄・地下廃棄物処分・長距離大深度トンネル (例えばリニア新幹線 Superconducting Maglevや国際リニアコライダー)など,岩種を問わず大規模地下空間掘削・利用に伴う空洞内への流入地下水抑制のため の,長期メンテナンスフリーを目指した岩盤内透水性空隙の長期自己閉塞(シーリング)技術の確立を目的として調査および実験研究を展開している.当該年度で は,この目的のもと,すでに実施してきた野外での球状コンクリーションの調査研究に基づいて,コンクリーション化の実験研究を開始した.方法として次の2 種類A,Bの充填・閉塞実験を行った.実験A:内部(内側)から浸出した腐食酸起源の重炭酸イオン(HCO3-)とカルシウムイオン(Ca2+)と反応実験.実験B:実験Aとは 対称に,内部にカルシウムイオンが存在し周辺の重炭酸イオンとの反応・沈殿による空隙シーリング実験である.実験Aは,天然コンクリーションの再現実験であ り,実験Bはコンクリートで覆われた地下空洞やトンネルの岩盤側に掘削等で生じた空隙のシーリングを目論む実験である(この現象は,地下研究所での共同調査 で今回初めて明らかにした).両方の実験とも基本重炭酸イオンとカルシウムイオンの拡散移動に伴う反応・沈殿(閉塞)の実証を確認するものであり,これらの反 応に伴う炭酸カルシウムの沈殿幅と速度を時系列で分析,確認し,それらから形成モデルの検証を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目的は,コンクリーション化による地下岩盤中の透水性割れ目や空隙のシーリング技術の確立である.その最終目的への道筋がほぼ見えてきたことも あり,概ね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の予定として,シーリングプロセスの地球化学的分析及び形成メカニズム解析を主体に実施する.特にコンクリーションの産状を明らかにした後,産状の特 徴ごとに,炭酸カルシウムの空隙シーリング状態を詳細に解析するために,カルシウムや鉄・マンガンなどの遷移元素の元素濃集状態,炭素・酸素同位体の地球 化学的分析を行う.遷移元素は,腐食酸との反応に伴うpH変化のインデックス元素として活用可能であり,炭素・酸素同位体は,生物有機体の腐食酸が起源であ るかどうかの確認となる.これらの元素分布を正確に把握することで,最終的に実施するシーリング実証実験の条件設定を明確にする.
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