研究課題/領域番号 |
18H03894
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
後藤 忠徳 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (90303685)
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研究分担者 |
柏谷 公希 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40447074)
山口 覚 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70191228)
村上 英記 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (10166259)
西尾 嘉朗 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (70373462)
笠谷 貴史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, 主任技術研究員 (90373456)
市原 寛 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (90553074)
田所 敬一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70324390)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フラクチャ / 比抵抗 / 活断層 / 南海トラフ |
研究実績の概要 |
陸上や海底に数多分布するフラクチャーの透水性や力学的強度を知ることは、油ガス・ハイドレート・地熱エネルギー開発において必須である。本研究では、大規模なフラクチャーの特性を、数値シミュレーションと岩石物理学モデルを軸としつつ、地殻の非破壊探査(電気・電磁探査および地震探査)と地質学的・地球化学的調査を組み合わせる新たな技術を開発する。本年度は、テーマ1として、花崗岩地域の地下500mの坑道内において、幅約10mのフラクチャーの透水性や岩盤強度と比抵抗・地震波速度の関連性を議論した。まず、比抵抗情報と掘削情報からフラクチャネットーワーク分布を推定する手法を開発した。この手法の妥当性を検討するために、同フラクチャ分布から透水係数を算出し、これを実測値として比較した。その結果、両者はよい一地を示したため、同手法の妥当性を検証できた。さらに岐阜県瑞浪市の深度500mの坑道において、フラクチャー分布と弾性定数、比抵抗、透水係数を比較し、互いによい相関性が見られること、また坑道にみられる2つの大きなフラクチャ周辺で、フラクチャ密度や諸物性値に変動がみられることが認められた。これらは小規模~大規模なフラクチャの相互関連性(構成則)を考える上で重要な知見である。テーマ2(陸上活断層の調査:地表~深さ1km程度)およびテーマ3(海底活断層:海底面~深さ数km程度)については、調査地域の絞り込みや、調査船の使用準備を進めた。このうちテーマ2については、岐阜県阿寺断層で実施する方向として、Feasibility Studyを進めた。またテーマ3については、南海トラフ熊野灘を想定したFeasibility Studyを実施し、調査船の使用許可申請を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進展しており、次年度の野外調査に向けてのFeasibility Studyが進んでいる。ただし、調査船については海洋研究開発機構所有のものの一部機能が故障しており、調査航海の実施は2020年度にずれ込む予定である。これにあわせて、消耗品などの一部購入を次年度に繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、テーマ2=陸上活断層の調査を実施する。調査地域は岐阜県阿寺断層を予定している。地表~深さ1km程度の地下比抵抗構造を電磁探査(MT探査)により明らかにするとともに、既取得の重力異常データの解析や、同じく既取得の地震探査や掘削の結果との対比を進める。またテーマ3=海底活断層(海底面~深さ数km程度)については、調査準備を進める予定であり、可能であれば一部調査を前倒しで実施する。調査海域は南海トラフ熊野灘を予定している。上記と並行して、テーマ1=岩石実験などを通じたフラクチャと諸物性の関係性の理解を推し進める。また数値シミレーションについても実施していく。 以上については12月に実施された研究集会(於 京都)において、情報交換および各研究機関間の協力体制の確認がなされた。
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