研究課題
前年度に引き続き完全結合クラスター法のコードに基づくFCCR法と配置空間量子モンテカルロ法の整備を行い、量子モンテカルロ法をクラスター展開に拡張した。完全結合クラスター法で用いられている、シンボリック表現の多倍長化を進め、多数の軌道の高速な取り扱いを可能にした。FCCR法については、摂動理論との結合を進めた。又、結合クラスター法に基づく配置空間量子モンテカルロ法で、線形化した近似結合クラスターモデルの実装を行い、摂動分割することにより一般的な摂動モンテカルド法の開発を行った。同様の摂動展開をCI法を基礎に行ったものと比較し、摂動成分に対する配置空間打ち切りの影響の解析を行った。この結果、二電子励起で配置空間の打ち切りを行った場合、CI展開を基礎とした摂動モンテカルロ法では、二次四電子励起波動関数のスポーニングに起因する三次波動関数と二次二電子励起波動関数からの転写項との打ち消しが不完全であるために、サイズに対する無矛盾が生じることを示した。これを解決するために、サイズ無矛盾を解消する一般的な摂動モンテカルロ法を提案した。さらに、決定論で開発してきたポスト射影ハートリー・フォック法についても、ロバストな二次の摂動論を開発し、遷移金属錯体とクロム2量体のポテンシャルエネルギー曲線の計算に応用した。本年はこれらの他に、溶液の積分方程式理論の共同研究においても重要な成果を論文として発表した。
1: 当初の計画以上に進展している
年度初頭に計画された全ての項目が達成できたことに加え、ポスト射影ハートリー・フォック法や統計力学の分野でも重要な成果を得られたため。
FCCR法の残余誤差を摂動理論によって取り扱う方法を開発する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件)
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