研究課題
高感度紫外光電子分光およびシンクロトロン放射光施設を利用した各種光電子分光実験等により半導体関連界面の電子状態研究を進め、9の論文成果を発表した(うち3件印刷中)。弱いファンデルワールス相互作用が期待される有機・無機界面の吸着構造と電子状態の相関を表面分析法で評価し機能や物性のメカニズムを議論した。また複雑な有機無機ハイブリッド型のペロプスカイト単結晶について、伝導帯電子の局在性を世界で初めて評価することに成功した。またラシュバ分裂による電子構造変化を捉えることに成功した。本年度成果の一例を以下に記す。<有機無機半導体界面の電子フォノン相互作用による電荷移動量への影響>有機アクセプターとして知られるフッ化TCNQ分子を層状化合物であるグラファイトの上に転写した硫化モリブデン単層膜を基板として成膜した。vdW力による弱相互作用界面のモデル試料として検討が可能で、電荷移動のメカニズムを議論した。角度分解UPSによる温度依存特性と精密な界面電子構造計算の結果から、界面における電子雲結合と分子内電子フォノン結合の相乗によって実現し、電荷移動量が温度制御可能であることを見出した。今後は温度で特徴づけできる分子機能の開拓により、新たな光・電子デバイスの研究開発へつながる[Advanced Materials 2021]。<有機無機ハイブリッドペロプスカイトの伝導バンド分散関係>高効率太陽電池として期待される混合型ペロプスカイトは有機分子が担う柔らかさがもたらす構造自由度と電子物性の関係性が注目されている。逆光電子分光および二光子光電子分光により初めて伝導帯電子のエネルギー分散関係の検出に成功した。電子局在性の詳細な知見は今後の展開として構造揺らぎの効果を議論するうえで有効である [J. Phys. Chem. Lett. 2021]。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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