研究課題
本年度は、共鳴型準弾性レーザー散乱法(QELS法)による気液界面計測による環境採取試料を目指し、昨年度から続けているセシルドロップ型計測法に加えて、電気力学天秤(EDB)法による水滴トラップ装置を新たに導入し、QELS法と組み合わせた。EDB装置では、帯電した単一水滴を、四重極型交流電場と二極式の直流電場の組合せで空中にトラップすることができ、光トラップ装置よりも安定にトラップ可能なこと、広い範囲の液滴直径に対応可能であること、などの効果が期待でき、QELS測定の適用範囲の大幅な向上が望める。EDB-QELS法では、半径5ミクロンから20ミクロン程度の水滴をトラップし、それぞれ単一液滴から文献値どおりの表面張力が得られることを確かめた。帯電水滴を用いるが、表面電荷の効果が限定的であることも確かめた。この方法を、界面活性剤分子であるSDSによる単一水滴の表面張力測定に適用したところ、同じSDSバルク濃度であるにもかかわらず、小さな半径の水滴で表面張力が上昇するサイズ効果を見いだした。この現象を説明するモデルが構築できれば、大気化学試料での濃度・サイズ効果を新たに提案できることとなり、非常に重要な科学的成果を得た。次に、硫酸アンモニウムとポリエチレングリコールを混合した水滴周辺の相対湿度を変化させることで濃度を変化させると、低い相対湿度条件でこの水溶液が、ポリエチレングリコール濃厚相と硫酸アンモニウム濃厚相に液液相分離することを確かめ、その時の外側液体の表面張力測定に成功した。最後に、名古屋大学持田教授との共同研究により、環境エアロゾル試料の表面張力測定に成功した。大気化学で長年課題であった単一環境エアロゾル水滴の表面張力測定に初めて成功し、学術的に大変意義ある成果を得た。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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