研究実績の概要 |
研究の最終年度に当たるため,昨年度に引き続き以下の項目について研究を遂行するとともに,これまでの研究成果をまとめ広く公表する目的で総説等の論文発表を行った(Coord. Chem. Rev. 2022; Dalton Trans. 2023)。 (1)直鎖状及び分枝状多座ホスフィン配位子の合成:アミンペンダントを有する直鎖状四座ホスフィンmeso,rac-Ph2PCH2P(Ph)N(4-C6H4R)P(Ph)CH2PPh2 (dpmppanR; R = H, F, Me, OMe)の合成を行った。(2)低原子価Pd, Pt分子ワイヤーの創成: アミンペンダントを有する直鎖状四座ホスフィンdpmppanRに支持された直鎖状Pd4核錯体の合成を行うとともに,一連のPtPd異種金属4核錯体(PtPd3, PtPd2Pt, Pt2Pd2, PdPt2Pd, Pt2PdPt, Pt3Pd, Pt4)を合成し,これらの構造と電子状態について詳細な研究を行った。(3)閉殻金属を用いた多核錯体の分子設計と光励起物性の発現:直鎖状四座ホスフィンmeso-dpmppp, meso-dpmppmNBn を用い一連のd8-d8 MM’二核錯体(M = Rh, Ir; M’ = Ni, Pd, Pt)を合成し,それらの構造と電子状態,反応性(ヒドロシリル化触媒反応)について研究を行った。(4)かご状銅ヒドリド多核金属集合系を用いた貴金属代替材料の開発:meso-dpmppm, meso-dpmppp, meso-dpmppmNBnを用いたかご状銅ヒドリド8,9,13及び16核錯体の合成と反応性について研究を継続した。(5)銅ヒドリド種を用いた有機触媒反応の開発:これまでに得られた銅ヒドリド錯体を用いて,二酸化炭素の水素化及びヒドロシリル化,ギ酸の二酸化炭素と水素への分解反応について触媒活性を調べた。
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