研究課題
基盤研究(A)
酸化還元(レドックス)反応すなわち電子の授受が迅速かつ可逆的に進む有機分子を連結して、研究代表者らが合成した一群のレドックス高分子を対象に、少量の電解質も含んでゴム状となった高分子での電荷(すなわち電子と対イオン)さらにはプロトンと水素分子の効率高い輸送と貯蔵をはじめて系統的に実証した。凝縮したレドックス席を介して、液相に似た迅速で可逆的な電荷および水素の交換反応が生起し、濃度勾配を駆動力として高分子内の隅々まで伝播する機作を、普遍的なエネルギー機能もつ有機材料の設計指針として描像した。
高分子、有機材料およびその関連分野
電池のように電荷(すなわち電気)を貯蔵し放出できる材料の多くは金属・金属酸化物など無機物によっている。また水素の化学的な貯蔵でも同じである。これらエネルギーの貯蔵作用を、レドックス能もち軽量・成形性ある有機高分子材料で発現できる可能性を提示した研究である。無機材料には無い特性として、数秒でのフル充電、サロンパス様電池、水素運搬プラスチック、酸素バリアフィルムなどを例示し、資源制約少なく環境適合・安全な機能材料としてアピールした。