研究課題
Li塩濃厚溶液中におけるLiイオン伝導機構の解明のため、電解液中における溶媒和構造の解析をラマン分光法により行い、溶液構造の動的挙動をNMR測定および誘電緩和測定により解析することを試みた。その結果、濃厚電解液中のイオン伝導にはイオンの並進運動のみならず、溶媒分子やアニオンの回転運動が大きな影響を及ぼしていることが示唆された。さらに、スルホン系溶媒を用いたLi塩濃厚電解液の分子動力学シミュレーションを行ったところ、溶媒分子の構造がLiイオンの拡散速度に大きな影響を及ぼし、スルホン系溶媒の中ではスルホランを用いた場合にLiイオンの拡散係数が大きくなることが示唆された。また、様々な溶媒を用いてLi塩濃厚電解液を調製し、これらの電解液中におけるリチウムインターカレーション材料の電気化学特性を解析した。ゾルゲル法により金基板上にLiCoO2やLiMn2O4、Li4Ti5O12などのインターカレーション材料の薄膜電極を作製し、これらのLiインターカレーション反応速度に濃厚電解液の溶媒やアニオンの構造が及ぼす影響を電気化学インピーダンス法により解析した。その結果、グライムなどの多座配位子として働く溶媒を用いた場合と比較して、単座配位子として働くテトラヒドロフランやプロピレンカーボネート、スルホランを溶媒に用いた場合には、界面電解移動反応抵抗が小さく、反応速度が速いことが明らかになった。これにより、溶媒和リチウムイオンの寿命、すなわち、配位子交換速度が界面電解移動反応速度に大きな影響を及ぼし、配位子交換速度が速い単座配位子の場合には、界面における反応速度も速くなることが示唆された。さらに、濃厚電解液中では、アニオンも界面電解移動過程に影響を及ぼし、ルイス塩基性が強いアニオンでは電解移動反応の活性化エネルギーが高くなる傾向が確認された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件)
Journal of Molecular Liquids
巻: 352 ページ: 118705~118705
10.1016/j.molliq.2022.118705
Electrochemistry
巻: 89 ページ: 590~596
10.5796/electrochemistry.21-00095
巻: 89 ページ: 567~572
10.5796/electrochemistry.21-00086
Journal of Non-Crystalline Solids: X
巻: 11-12 ページ: 100071~100071
10.1016/j.nocx.2021.100071
Physical Chemistry Chemical Physics
巻: 23 ページ: 21419~21436
10.1039/D1CP02946K
The Journal of Physical Chemistry B
巻: 125 ページ: 7477~7484
10.1021/acs.jpcb.1c04693
巻: 89 ページ: 389~394
10.5796/electrochemistry.21-00052
巻: 125 ページ: 6600~6608
10.1021/acs.jpcb.1c01361
ACS Omega
巻: 6 ページ: 16187~16193
10.1021/acsomega.1c02161
Electrochemical Science Advances
巻: Early View ページ: e2100150
10.1002/elsa.202100150