研究課題
燃料電池開発のための新たな水素キャリアとして、水素よりも高エネルギー密度であり無毒な物質として尿素が注目されている。私たちは昨年度までに、イオン液体/金属スパッタリング法を用いて2種類の金属をイオン液体に同時スパッタ蒸着することでNiAu複合ナノ粒子を作製し、尿素酸化に対してNiナノ粒子よりも高い電極触媒活性を示すことを報告した。一方で最近、Agナノ粒子が尿素酸化反応に対して高い活性を示すことが報告された(J. Electrochem. Soc., 165, B3006-B3016 (2018))。そこで本年度は、AgをNiAu複合粒子にドープすることで三元系Ni-Au-Ag複合ナノ粒子を作製し、尿素酸化活性をより高活性化することを目指した。イオン液体に対して、Ni-Au-Ag交互配列ターゲットをスパッタリングすることで三元NiAuAg複合ナノ粒子を作製した。得られたナノ粒子をカーボンブラック(CB)粉末に担持してNiAuAgナノ粒子担持CB触媒(NiAuAg/CB)を得た。この粒子の触媒活性は、0.1 M 尿素を含む0.1 M NaOH水溶液中で測定した。CB粒子表面には、粒径5.5 nmの球状NiAuAg複合ナノ粒子が密に担持されていた。交互配列ターゲット中の各金属面積比を変化させることで、三元ナノ粒子の組成を変調させた。Au/Ag比を約4~5に固定したNiAuAg/CB触媒の尿素酸化電流密度(Ni量で規格化)は、NiAuAgナノ粒子のNi組成によって大きく変化した。尿素酸化反応に対する電極触媒活性は、Ni含有量量の多いNiAuAg 粒子において純Ni粒子よりも大きなものとなった。これらのことから、イオン液体/金属スパッタリング法によって各金属元素が複合化されたNiAuAgナノ粒子が作製でき、ナノ粒子組成によって尿素酸化に対する電極触媒活性が制御できること分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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