研究課題/領域番号 |
18H03957
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀田 紀文 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (00323478)
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研究分担者 |
ゴメス クリストファー 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (20800577)
廣嶋 卓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40302591)
甲斐田 直子 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60456704)
鈴木 拓郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60535524)
加藤 顕 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (70543437)
早川 裕弌 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (70549443)
芳賀 弘和 鳥取大学, 農学部, 准教授 (90432161)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流木災害 / 土石流 / 土壌浸食モデル / 土砂災害対策 / 防災意識 |
研究実績の概要 |
引き続き各地での調査を実施した.福岡県朝倉市では,2017年九州北部豪雨災害で発生した流木の流域内での分布状況を調査したうえで,植栽木の大きさや形状が流木の到達範囲にどのように影響するかの検討を行った.その他,土石流や土砂流出の発生した複数の森林域でも継続的に調査を実施した. 土壌侵食モデルであるGeoWEPPの適用にあたっては,数値標高モデル(DEM)から得られる河道網の形状が土壌侵食モデルによる計算結果に大きく影響する一方で,実態と同じ河道網が再現される限りDEMの解像度によらず同程度の計算結果が得られることを見出した.また,短期計算と長期計算との比較から,前年度得られた河道部分での土砂流出の影響をより詳細の検討に加えて,土砂生産源と河道の間の地表条件を適切に評価することが再現性の向上に繋がることを見出した. 粒子法を用いた土石流計算では,流木の混在した条件下での計算に成功した.前年度に実施した水路実験の再現に成功し,流域内での流木の分布を予測するための準備が整った. また,流木災害に関する動画を作成したうえで,都市圏の住民を対象とした防災行動の負担感に関するアンケート調査を実施した.災害への備え方を調べる面倒さ,日常生活の時間を割いて備える面倒さが主な阻害要因となり,非金銭的負担感が自助・共助実践に負の影響を与えることが明らかとなった.流木災害のような広域災害において,被害予測の可視化だけでは不十分であり,どのように広報・普及するか,という点が課題となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の技術的な中心課題は山地流域における長期的な水・土流出をモデルによって再現し,その上で,崩壊の発生による流木供給,土石流による流木の移動を個別の検討することにある.分布型の水・土流出モデルの選定と適用性の検証は昨年度より順調に進んでいたが,技術的なハードルが高いと考えていた粒子法による流木混じり土石流の計算が可能になったため,研究全体の見通しがついた.また,本研究によって得られた成果を社会実装するうえでの課題についても現段階で一定の知見を得られており,全体を通して順調な進捗だと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きデータの蓄積,現地調査を実施しつつ,モデルの開発と検証を進める.
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