研究課題
琵琶湖流入21河川において11回の調査を行ない、溶存態リン(DP)濃度が農地面積割合の高い集水域で高いことを明らかにした。一方、懸濁態P(PP)濃度は面積割合ではなく面積に依存した。琵琶湖へのPP流入は、DPとは異なり、農地以外からの流入が重要である可能性が示された。植物プランクトン一次生産は0.04~3.56(平均0.87)gC/m2/dであり、パルス的な栄養塩供給がある5~6月に比較的高く、栄養塩供給が減少する8月以降は著しく低い値で推移した。衛星・船舶観測では、一次生産の高い5~6月にかけて、大型植物プランクトン(緑藻)の大規模ブルームが捉えられた。湖水のラドン濃度測定結果より、10m以深の湖底で高濃度が検出され、深層地下水の湧出を示唆した。湖水のリン酸濃度(SRP)が0.06 umol/L以下であるのに対し、地下水のSRPは0.69~28.0 umol/Lと数桁高い値を示し、地下水が琵琶湖のリン酸プールの主要供給源となっている可能性が示唆された。ボーリングコア試料と地下水のリン酸酸素安定同位体比(δ18Op)を深度別に比較したところ、深層地下水(24.7~27.5 m)のδ18Opは帯水層ではなく、直上の不帯水層(23~24 m)のものと一致した。これは、不帯水層からリン酸が供給されていることを示唆する。浅層地下水(1.8~10 m)のδ18Opは、5月と10月で異なる値を示した。δ18Opと同位体分別から考えると、浅層地下水では春季には生物による速い再循環が、秋季には堆積物からのリン供給または有機態Pの無機化が示唆された。現場実験で得られた経験式から外挿された過去40年間の動物プランクトン生産量は、7.6-58.6 (平均23.8)gC/m2/yで推移した。既存の植物プランクトン一次生産から計算される転換効率は大きく変動せず、平均10.2%程度であった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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