研究課題
2022年3月15日から12月5日まで3棟のビニールハウスを、屋外と同じ環境(A棟)、屋外の気温+3℃(B棟)、あるいは屋外の気温+3℃かつ屋外の二酸化炭素濃度+200ppm(C棟)に制御した。各棟内に標準灌水区と、その1.5倍量を灌水する多灌水区を設けた。着果数は前年より減らして樹当たり80果程度に設定した。高温処理によりリンゴ樹の萌芽と開花が7~9日早まる一方、落葉は4~5日遅れた。果実収穫日は品種によって反応が異なり、‘つがる’では高温処理により6日前進したが、‘ふじ’では8日後退した。高CO2処理に伴う植物季節の変動は明瞭でなかった。リンゴ樹の地上部乾物生産量は、高温処理により10%、高CO2処理により13%、多灌水処理により5%、それぞれ増大した。しかし果実への乾物分配率は高温処理によって減少し、高温+高CO2処理でも回復しなかった。そのため果実収穫量はA棟>C棟>B棟となった。B棟の収穫果実はA棟に比べて糖度、硬度が低く着色が悪かった。またB棟とC棟では、2020年に続き‘ふじ’の頂芽花芽率がA棟より低かった。深さ15cmにおける土壌の体積含水率はC棟>B棟>A棟で、いずれの棟でも経年的に増大し、棟間の差は経年的に減少した。土壌pHもC棟>B棟>A棟で、いずれの棟でも昨年より増大した。更に土中CO2濃度も概ねC棟>B棟>A棟で、いずれの棟でも経年的に増大し、深さ15cmより40cmで高かった。本実験系の気温と灌漑水量を境界条件として入力し、各棟で観測された水・熱・CO2動態を再現できるモデルの作成に向け、適切なパラメータ値の探索を進めた。B棟とC棟では2020年に減少した土壌有機物量や微生物バイオマス炭素量が回復する傾向が認められた。しかし微生物が利用可能な易分解性有機物はB棟で前年より減少したことが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Agricultural Meteorology
巻: 79 ページ: 49-57
10.2480/agrmet.D-22-00021