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2018 年度 実績報告書

リボソームユビキチンコードの分子機構とその普遍性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H03977
研究機関東北大学

研究代表者

稲田 利文  東北大学, 薬学研究科, 教授 (40242812)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード翻訳品質管理 / リボソーム修飾 / ユビキチン化 / リボソーム品質管理
研究実績の概要

正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、その破綻や異常は様々な疾患の原因となります。細胞の保持する品質管理機構は、異常な遺伝子産物を認識し排除することで遺伝子発現の正確性を保証しています。
タンパク質はmRNAを鋳型にしたリボソームによる翻訳反応によって合成されます。リボソームは、正確なコドン認識と高効率なペプチド結合を担うタンパク合成の中心装置であるだけでなく、様々な因子と相互作用し遺伝子発現に必須な機能を果たします。遺伝子発現の根幹であるタンパク質合成装置であるリボソーム機能の低下は、不良タンパク質の蓄積やオルガネラの損傷など、広範な細胞機能障害を引き起こすため、個体寿命の短縮の原因になると考えられます。しかしながら、リボソーム機能低下が細胞老化・個体機能低下を引き起こす過程はいまだ不明のままでした。
研究代表者は、翻訳停止に起因する品質管理機構を世界に先駆けて発見し分子機構の解明を進めてきました。これまでに、翻訳伸長反が途中で停止した場合に、合成途上のポリペプチド鎖のユビキチン化とプロテアソームによる迅速な分解が起こることを世界に先駆けて報告しました。さらに、異常リボソームは様々な発現異常の原因となるため、細胞は機能欠損リボソームを認識し排除する品質管理機構を解析しました。その結果、リボソームタンパク質uS3のユビキチン化が必須であることを示し、関与するE3ユビキチンライゲース群の同定に成功しました。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

異常リボソームは様々な発現異常の原因となるため、細胞は機能欠損リボソームを認識し排除する品質管理機構を解析しました。その結果、リボソームタンパク質uS3のユビキチン化が必須であることを示し、関与するE3ユビキチンライゲース群の同定に成功しました。この研究成果により、細胞の持つ新たな品質管理の仕組みが分子レベルで明らかになるだけでなく、リボソーム機能欠損に起因する遺伝病であるリボソーム病の理解に大きく貢献することが期待されます。また、異常タンパク質の産生が原因となる様々な異常タンパク質の合成を効率的に抑制する治療薬の開発にも貢献する事が期待されます。今回の研究成果は、これらの疾患の発症機構の理解につながる重要な発見であるため概ね順調に進んでいると考えます。

今後の研究の推進方策

翻訳停滞に起因する品質管理機構RQCと、正確なコドン識別能を欠損した異常リボソームの品質管理機構であるNRDにおける「リボソームユビキチンコード」を、出芽酵母と高等真核生物で解明します。
【目的1】H30年度中に、翻訳品質管理機構RQCにおけるリボソームユビキチンコードについては、RQCの標的配列が同定できました。従ってH31年度は、①E3ユビキチンライゲースによる停滞リボソームの認識、②ユビキチン化リボソームのサブユット解離の解明を、細胞内在性の配列を用いて分子機構の解明を目指します。また RQC による制御の生理的意義を明らかにします。
【目的2】機能欠損リボソーム品質管理NRDにおけるリボソームユビキチンコードの解明については、出芽酵母における18S NRDに必須なE3ライゲース Mag2が同定できました。従ってH31年度は、Mag2による機能欠損リボソーム認識機構を解明します。また、ヒト培養細胞における機能欠損リボソーム品質管理NRDの検証を進めます。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Sequential ubiquitination of ribosomal protein uS3 triggers the degradation of non-functional 18S rRNA2019

    • 著者名/発表者名
      Takato Sugiyama, Sihan Li, Misaki Kato, Ken Ikeuchi, Atsushi Ichimura, Yoshitaka Matsuo and Toshifumi Inada
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 26 ページ: 3400-3415

    • DOI

      doi.org/10.1016/j.celrep.2019.02.067.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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