研究課題
分泌経路に存在する亜鉛トランスポーター(ZnT)の系統的ノックダウン実験により、主としてZnT7がERp44の細胞内局在を制御することを突き止めた。さらに、東北大・水上進教授との共同研究により、ゴルジ体へターゲッティングされる亜鉛センサープローブを開発し、Cell Chemical Biology誌に論文を発表した。この亜鉛プローブを用い、シス・ミディアル・トランスゴルジ体内の亜鉛濃度をそれぞれ測定した。その結果、亜鉛トランスポータによるゴルジ体内の亜鉛濃度の制御機構の詳細を明らかにした。現在、本成果をまとめ、論文投稿準備中である。さらに、ゴルジ体からサイトゾルへ亜鉛イオンを排出するZIPファミリーのトランスポーターにも着目し、系統的なノックダウン実験を行った。その結果、ERp44の機能制御に関わるZIPメンバーを同定した。以上の研究を通し、ZnT, ZIPファミリーメンバーを介した亜鉛イオン恒常性維持機構の全容解明に迫った。さらに、ERp44の主たる制御因子である亜鉛トランスポーターZnT7のクライオ電子顕微鏡による高分解能構造解析に取り組んだ。令和元年度の時点では、分解能が10Å程度であったが、ZnT7の膜外ドメインを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、そのFabフラグメントとZnT7の複合体について、2.7Åという高分解能で立体構造を決定することに成功した。亜鉛結合状態、非結合状態の両方の構造情報から、ZnT7が駆動する亜鉛輸送機構の詳細を考察中である。現在本成果について、論文投稿準備中である。また、他のZnTやZIPファミリーについても、クライオ電子顕微鏡による構造解析を目指し、大量発現精製系を構築した。すでに、ZnT5とZIP7についてはサンプル調製に成功し、近日中にクライオ電子顕微鏡による構造解析を開始する予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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