研究実績の概要 |
相同組換えの中心反応は、ATPをコファクターとするRecA ファミリーリコンビナーゼ(ATP依存的組換え酵素)によるDNA鎖交換反応である。このファミリータンパク質は、単鎖と数珠状に結合したプレシナプティックフィラメントを形成し、ドナー二重鎖DNAに対する相同性検索とDNA鎖の交換を行う。本申請研究では、様々な代表的ATP依存的組換え酵素について普遍性と特異性の検証、相同性認識におけるストリンジェンシー制御機構と補助因子による活性化機構を明らかにすることを目的としている。また、リコンビナーゼによる鎖交換反応の基質の生成機構についても明らかにしようとしている。当該年度は、次の成果を得た。 (1) リコンビナーゼによる鎖交換反応の基質の生成機構は、MRN-Ctp1/CtIPが重要な働きをしている。本期間では、分裂酵母Ctp1のC末端15アミノ酸が、Mre11のエンドヌクレアーゼ活性を促進することを見出し、ヒト細胞にも共通する普遍的なMRN制御機構を明らかにした (Zdravkovic et al, PNAS)。 (2) Rrp1タンパク質はトランスロケース活性とユビキチンリガーゼ活性を有するユニークなタンパク質である。この2種類を活性によってRad51 を制御していることを明らかにした(Muraszko et al, Nucleic Acids Res)。 (3) 担子菌酵母ナガニシアにおいて、Rad51とRad52タンパク質は異なる遺伝的経路で遺伝子ターゲッティングに働くことを明らかにした (Palihati et al, Curr. Genet)。 (4) 分裂酵母の相同組換えに関与するタンパク質について概説した (Tsubouchi et al, Curr Opin Genet Dev)。
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