研究課題
我々は2013年以降、それまでに予想もされていなかった微生物由来の新規ロドプシンの存在を次々に報告し、光駆動ナトリウムポンプについては立体構造も決定した。その結果、微生物ロドプシンは共通の構造と光反応を持つにも関わらず、実に多彩な機能を示すことがわかってきた。本研究では、構造と機能をつなぐタンパク質の構造ダイナミクスを明らかにすることで、共通構造から多彩な機能が生じる機構を解明することを計画した。研究では、低温法、時間分解法、全反射法などの手法を駆使して光反応中間体におけるレチナールやタンパク質部分、内部結合水の構造変化を明らかにすることで、種々のロドプシンにおけるメカニズムを明らかにすることを目指した。最終年度となる2020年度は以下の成果が得られた。光駆動ナトリウムポンプについては、ラマン散乱分光を用いた共同研究により、ナトリウムイオン結合に伴うアロステリックな構造変化を明らかにするとともに、低温赤外分光を用いたレチナール近傍の水分子を含む水素結合ネットワークの解明に成功した。我々が世界で始めて発見した内向きプロトンポンプについては、研究期間内に見出した新規ロドプシンであるシゾロドプシンも内向きプロトンポンプであることを明らかにした。そして低温赤外分光を用いてプロトン移動のメカニズムに関する報告を行った。我々が2017年に発見した酵素ロドプシン・Rh-PDEについては、新規タンパク質の活性や波長制御メカニズムを報告するとともに、結晶構造解析の共同研究により立体構造モデルを発表した。光がどのように酵素の活性を駆動するのか、その構造ダイナミクスに関する重要な知見が得られたのである。ヘリオロドプシンは、共同研究により変異体の立体構造を決定するとともに、全反射赤外分光を用いた解析により、亜鉛が特異的に結合することがわかった。未知である機能に影響を与えることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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