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2020 年度 実績報告書

ヒストンH3K9メチル化修飾による転写抑制の包括的理解

研究課題

研究課題/領域番号 18H03991
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

眞貝 洋一  国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20211972)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードepigenetics
研究実績の概要

ヒストンH3の9番目(H3K9)のメチル化は、転写抑制のエピゲノムとして種を超えて保存されている。本研究課題では、このH3K9メチル化マークにより如何に転写抑制状態が確立するのか、その共通あるいは特有の原理を明らかにすることを目標としている。そのために、以下の3つのサブテーマ(ST)を計画した。ST1:「出芽酵母でのH3K9メチル化による転写抑制系の確立とH3K9メチル化読み取り分子の転写抑制における役割の検討」、ST2:「Dnmt1,3a,3b TKO ES細胞を用いて、G9a/GLP複合体によって誘導されている転写抑制に寄与する遺伝子の網羅的なスクリーニングと同定された遺伝子の機能解析」、ST3:「メスのEpiSCを用いてのXCIの確立・維持に寄与する遺伝子の網羅的なスクリーニングと同定された遺伝子の機能解析」。2020年度は、それぞれのSTに関して以下の研究の進展があった。
ST1:哺乳類のH3K9メチル化酵素、その制御因子、H3K9メチル化読み取り分子HP1を出芽酵母で発現させるベクターを構築し、一過的な発現、発現による細胞毒性がないことを確認した。まず、H3K9メチル化酵素を恒常的に発現させる株を樹立し、G9a、GLP、SUV39H1、SETDB1を発現させるとH3K9me2,3を誘導できることを確認した。
ST2:G9aにより転写が抑制されている遺伝子領域にGFPを導入したマウスES細胞を用いて、GFPの脱抑制を指標に、G9aによる転写抑制に寄与する因子の網羅的CRISPR-Cas9 KOスクリーニングを行い、既知および新規候補因子を同定した。現在、それらの因子の機能解析を進めている。ST3:メスのEpiSC株を用いたCRISPR-Cas9 KOスクリーニング系を確立し、網羅的検討を進めたが、今回は新規因子の同定にまでは至らなかったので、検出系の再検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

進めている3つのサブテーマ、何れに関しても研究の進展があり、当初予定していた研究をおおむね遂行できる状況にある。

今後の研究の推進方策

今年度は、それぞれのサブテーマ(ST)に関して以下の研究を進める
ST1:出芽酵母で転写抑制の評価系を確立した。さらに、H3K9メチル化誘導が確認できつつあるので、globalおよび特定部位へのH3K9メチル化の誘導とH3K9メチル化誘導における転写への影響を解析する
ST2:網羅的Cas9/gRNAノックアウトスクリーニングにより、G9a/GLP複合体による転写抑制で働くことが知られている遺伝子並びに多くの新規遺伝子を同定した。そこで、同定された新規因子の機能解析を進める、特にH3K9メチル化の下流で機能する因子の機能解析を進める
ST3:XCIの確立・維持に寄与する遺伝子の網羅的Cas9/gRNAノックアウトスクリーニングを開始し、新規の候補遺伝子が同定されたら、その遺伝子の機能解析を始める

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] SETDB1-Mediated Silencing of Retroelements2020

    • 著者名/発表者名
      Fukuda Kei、Shinkai Yoichi
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 12 ページ: 596~596

    • DOI

      10.3390/v12060596

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The fibronectin type-III (FNIII) domain of ATF7IP contributes to efficient transcriptional silencing mediated by the SETDB1 complex2020

    • 著者名/発表者名
      Tsusaka Takeshi、Fukuda Kei、Shimura Chikako、Kato Masaki、Shinkai Yoichi
    • 雑誌名

      Epigenetics & Chromatin

      巻: 13 ページ: 52

    • DOI

      10.1186/s13072-020-00374-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 反復配列に引き起こされる哺乳類異所的高次クロマチン形成系の構築と解析2021

    • 著者名/発表者名
      白井温子、大関淳一、舛本寛、中山学、眞貝洋一
    • 学会等名
      第38回染色体WS・第19回核ダイナミクス研究会
  • [学会発表] Between H3K9 and DNA methylations-the crosstalk in two main gene silencing pathways2021

    • 著者名/発表者名
      Fang Qi
    • 学会等名
      第14回日本エピジェネティクス研究会年会
  • [学会発表] H3K9メチル化を介した遺伝子発現抑制機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      清水泰希、沖昌也、眞貝洋一
    • 学会等名
      第14回日本エピジェネティクス研究会年会
  • [学会発表] 反復配列に引き起こされる哺乳類異所的高次クロマチン形成系の構築と解析2021

    • 著者名/発表者名
      白井温子、大関淳一、舛本寛、中山学、眞貝洋一
    • 学会等名
      第14回日本エピジェネティクス研究会年会
  • [学会発表] Compartment-dependent regulation of heterochromatin formation in mouse embryonic stem cells2021

    • 著者名/発表者名
      福田渓、三浦尚、谷川明恵、平谷伊智朗、眞貝洋一
    • 学会等名
      第14回日本エピジェネティクス研究会年会

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公開日: 2021-12-27  

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