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2018 年度 実績報告書

造血幹細胞を維持する微小環境(ニッチ)の形成と作用の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H03998
研究機関大阪大学

研究代表者

長澤 丘司  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80281690)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード微小環境 / 組織幹細胞 / 発生・分化 / 再生医学
研究実績の概要

(A-1)CAR細胞の形成におけるNotchの役割。Notchファミリー受容体分子のCAR細胞の形成における役割を検討するため、Notchシグナル伝達に必須のRBPjkに注目し、胎生期よりRBPjkを欠損するPrx1-Cre-RBPjk flox/floxマウスを作製している。
(A-2)CAR細胞の形成に必須の新規分子の同定。CAR細胞の形成に重要な新規の分子(Foxc1の発現を誘導する分子を含む)を同定するために、Prx1-Cre/Foxc1 flox/floxマウスの新生児期のCAR前駆細胞と野生型マウスの骨芽細胞を分離し、遺伝子発現量をマイクロアレイと次世代シークエンサーにより比較した。
(B)CAR細胞の細胞突起が作るネットワークの役割の解明。CAR細胞は、カドヘリンファミリー分子のうち、N-カドヘリンとカドヘリン-11を高発現する。そこで、カドヘリン-11欠損マウスとN-カドヘリンflox/floxマウスの作製を進めた。
(C)CAR細胞の未分化性の維持と、骨芽細胞や脂肪細胞への分化の調節機構の解明。Wntファミリー分子に注目し、そのシグナル伝達に必須のβ-カテニン遺伝子を成体のCAR細胞特異的に欠損するマウスと、骨芽細胞特異的に欠損するマウスの作製を進めた。また、Wnt4または、Wnt5aとWnt5bの両方をCAR細胞または骨芽細胞で欠損するマウスの作製を進めた。
(D)主な共同研究。小野らと、胎生期でのCAR細胞の起源の一つとして胎生期のPTHrP陽性軟骨幹細胞を同定した。また、Bhatiaらと、正常造血幹細胞の維持に必須のCXCL12が慢性骨髄性白血病のがん幹細胞の増殖を抑制することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発生過程でCAR細胞が形成される分子機構、CAR細胞の細胞突起のネットワークの役割と作用機構、CAR細胞の大部分で未分化性が維持されて一部が骨芽細胞や脂肪細胞に分化する分子機構の解明に向けて、順調に遺伝子検索、遺伝子変異マウスの作製、入手が進んでいる。

今後の研究の推進方策

(A-1)CAR細胞の形成におけるNotchの役割。引き続き、Notchシグナル伝達に必須のRBPjkを欠損するPrx1-Cre-RBPjk flox/floxマウスを作製、解析する。
(A-2)CAR細胞の形成に必須の新規分子の同定。引き続き、CAR細胞の形成に重要な新規分子を同定するために、新生児期のPrx1-Cre/Foxc1 flox/floxマウスのCAR前駆細胞と野生型マウスの骨芽細胞をフローサイトメトリーで分離し、遺伝子発現量をマイクロアレイと次世代シークエンサーにより比較する。
(B)CAR細胞の細胞突起が作るネットワークの役割の解明。引き続き、CAR細胞におけるカドヘリンの役割を検討するため、カドヘリン-11欠損マウスとN-カドヘリンのfloxマウスを作製する。骨と骨髄の全ての非血球細胞分画の詳細な解析より、他のカドヘリンの発現はほとんど認められなかったため、これらのマウスの解析のあと、α-カテニンflox/floxマウスの入手を検討したい。
(C)CAR細胞の未分化性の維持と、骨芽細胞や脂肪細胞への分化の調節機構の解明。引き続き、Wntファミリー分子に注目し、β-カテニン遺伝子を成体のCAR細胞特異的に欠損するマウスと骨芽細胞特異的に欠損するマウス(Col1a2.3-Creマウスと交配)を作製する。また、Wnt4または、Wnt5aとWnt5bの両方をCAR細胞または骨芽細胞で欠損するマウスを作製する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Mesenchymal Niche-Specific Expression of Cxcl12 Controls Quiescence of Treatment-Resistant Leukemia Stem Cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Agarwal, P., Isringhausen, S., Li, H., Paterson, A.J., He, J., Gomariz, Á., Nagasawa, T., Nombela-Arrieta, C., and Bhatia, R.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.stem.2019.02.018

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Niches for hematopoietic stem cells and immune cell progenitors.2019

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama, T., Omatsu, Y., and Nagasawa, T.
    • 雑誌名

      Int. Immunol.

      巻: 31 ページ: 5-11

    • DOI

      10.1093/intimm/dxy058

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Resting zone of the growth plate houses a unique class of skeletal stem cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Mizuhashi, K., Ono, W., Matsushita, Y., Sakagami, N., Takahashi, A., Saunders, T.L., Nagasawa, T., Kronenberg, H.M., and Ono, N.
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 563 ページ: 7730

    • DOI

      10.1038/s41586-018-0662-5

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Neutrophils instruct homeostatic and pathological states in naive tissues.2018

    • 著者名/発表者名
      Casanova-Acebes, M., Nicolás-Ávila, J.A., Li, J.L., García-Silva, S., Balachander, A., Rubio-Ponce, A., Weiss, L.A., Adrover, J.M., Burrows, K., A.-González, N., Ballesteros, I., Devi, S., (他5名), Nagasawa, T., Soehnlein, O., Merad, M., Mortha, A., Ng, L.G., Peinado, H., and Hidalgo, A.
    • 雑誌名

      J Exp Med.

      巻: 215 ページ: 2778-2795

    • DOI

      10.1084/jem.20181468

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Quantitative spatial analysis of haematopoiesis-regulating stromal cells in the bone marrow microenvironment by 3D microscopy.2018

    • 著者名/発表者名
      Gomariz, A., Helbling, P.M., Isringhausen, S., Suessbier, U., Becker, A., Boss, A., Nagasawa, T., Paul, G., Goksel, O., Székely, G., Stoma, S., Nørrelykke, S.F., Manz, M.G., and Nombela-Arrieta, C.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 9 ページ: 2532

    • DOI

      10.1038/s41467-018-04770-z

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Peripheral PDGFRα+gp38+ mesenchymal cells support the differentiation of fetal liver-derived ILC2.2018

    • 著者名/発表者名
      Koga, S., Hozumi, K., Hirano, K.I., Yazawa, M., Terooatea, T., Minoda, A., Nagasawa, T., Koyasu, S., and Moro, K.
    • 雑誌名

      J Exp Med.

      巻: 215 ページ: 1609-1626

    • DOI

      10.1084/jem.20172310

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2019-12-27  

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