研究課題
生体は、腸・肺・脳という大きな区画から、毛細血管というような小区画まで、大小様々な区画に分かれる。各区画が上皮細胞シートで覆われ、恒常性が保たれることは、生体機能発現には必要不可欠である。上皮細胞は、タイトジャンクション (TJ) を介して側面で密着し、上皮細胞シートを形成する。上皮細胞シートには、TJの細胞間バリアと上皮細胞アピカル膜のアピカル面バリアが存在する。両者は連携し、上皮バリアとして、生体の各区画を形作り、自由な物質移動を制限し、必要物質を選択的に透過させるが、連携機序は不明である。私共は最近、先進的イメージング技術によりアピカル膜に沿った細胞骨格を発見した。本アピカル骨格とTJの構造的・機能的なリンクやそれを司る因子を複数見出した。それらの解析から、アピカル骨格とTJは「TJ-アピカル複合体」というシステムとして機能し、細胞間・アピカル面バリアを統合すると考えられた。さらに、TJ-アピカル複合体は、細胞内外の状況を反映して、細胞シグナル経路のインターフェースとなり、上皮バリア動態を制御するという予備知見も得ている。従来、細胞間・アピカル面バリアは別個に解析されてきたが、本研究では、TJ-アピカルを軸とした上皮バリアの統合的解析・理解を目指し、上皮バリアによる生体機能の新規構築原理を開拓する。上皮バリア研究の切り口として、私共が提唱しているTJ-アピカル複合体は新しく、類似研究はない。本年度の本研究では、特にTJMAP-2による上皮細胞アピカル面のconstrictionの機能解析を進め、既知の機序とは異なるアピカル面のconstriction機序を見出し、論文化への解析を進めた。成果については、特別推進研究へ引き継ぎ、並行して解析中の他のTJMAPsとともに、TJ-アピカル複合体の構造と機能の理解に繋げる。確立してきた高解像イメージングもさらに発展させる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.3
巻: 9 ページ: 14249
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