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2019 年度 実績報告書

東南アジア産樹木の種多様性・系統多様性・形質多様性の地理的パターン

研究課題

研究課題/領域番号 18H04011
研究機関九州大学

研究代表者

矢原 徹一  九州大学, 理学研究院, 学術研究員 (90158048)

研究分担者 陶山 佳久  東北大学, 農学研究科, 教授 (60282315)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード熱帯林 / 種多様性 / 東南アジア / クスノキ科 / 分子系統 / 新種 / ブナ科
研究実績の概要

熱帯雨林において樹木種の多様性が高いことはよく知られているが、実際には熱帯雨林でも樹木種の多様性には大きな地域差がある。本研究はこの地域差が、気温・雨量・地形要因にどのように影響されているかを解明することを最終目標としている。2019年度においては、インドシナ半島でもっとも高い樹木種の多様性が見られるベトナム南部山地のBidoup Nui Ba国立公園において、5か所の森林調査区内の樹木の展葉・開花・結実フェノロジーを調査し、気温・雨量の変化に対して代表的な樹種がどのように応答しているかを検討した。5調査区全体の観察対象91種すべてが4月(雨季始め)に展葉したが、観察期間中に開花した種は70種にとどまり、一年の中で明瞭なピークは見られなかった。この結果から、熱帯山地林には1年周期で明瞭な季節性を示す種と温帯林の一部の種に見られる「成り年」を示す種が共存している可能性が示された。また、とくに多様性が高いブナ科・クスノキ科に注目して、プロット内の樹種をMIG-seq解析と形態観察によって正確に識別し、各樹種の分布と地形要因の関係を検討した。ブナ科・クスノキ科のいずれにおいても、調査区内でふつうに見られる種の中に未記載種が確認された。さらに、ブナ科ではコナラ属において祖先的な系統的位置にある未記載種が発見され、クスノキ科では、Actinodaphne, Neolitesa属に近縁な新属が確認された。このような固有性の高い樹木相は、調査区間での高いβ多様性を示した。この事実は、調査区間での地形の違いと関係していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ベトナム南部山地におけるフェノロジー調査は予定どおり実施でき、調査結果から展葉・開花・結実フェノロジーと気象要因の関係についての統計的分析ができた。また、ブナ科・クスノキ科におけるMIG-seq法による系統解析が着実に進行し、ブナ科では系統的に古い新種が、クスノキ科では新属が確認された。系統解析にもとづいて調査区内の樹木の再同定を行い、β多様性を正確に決定でき、β多様性が高いという結論が得られた。これらはいずれも、申請計画時のねらいをうらづける研究成果である。

今後の研究の推進方策

2019年度において有意義な野外調査結果が得られたので、2020年度においては調査結果の統計的分析を進め、気象要因・フェノロジー・種多様性の関係について検討を行い、論文をまとめる。系統解析については、ブナ科・クスノキ科の系統解析をさらに進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] ダラット大学(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      ダラット大学
  • [雑誌論文] Progress on Southeast Asia’s Flora projects2019

    • 著者名/発表者名
      Middleton DJ, Armstrong K, Baba Y, Balslev H, Chayamarit K, Chung RCK, Conn BJ, Fernando ES, Fujikawa K, Kiew R, Luu HT, Aung MM, Newman MF, Nobuyuki T, Tagane S, Thomas DC, Tran TB, Utteridge TMA, van Welzen PC, Widyatmoko D, Yahara T, Wong KM.
    • 雑誌名

      Gardens’ Bulletin, Singapore

      巻: 71 ページ: 267-319

    • DOI

      10.26492/gbs71(2).2019-02

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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