研究課題
本研究では、プルキンエ細胞の活動がどのような遺伝子発現を経てシナプス刈り込みを引き起こし、永続的な神経回路の変化として固定化されるのかを明らかにするために、エピジェネティック因子に注目した。(1) プルキンエ細胞の活動によるヒストン修飾の役割令和元年度までに、Mef2dのプルキンエ細胞特異的ノックダウン(KD)によって登上線維シナプス刈り込みが障害されることを明らかにした。これを受けて、令和2年度は、プルキンエ細胞特異的ノックアウトマウス(Mef2d-cKO)を確立し、小脳スライスのプルキンエ細胞から記録をして、登上線維シナプス応答を解析した。その結果、生後3週目以降、Mef2d-cKOでは野生型マウスに比べて2本以上の登上線維からシナプス入力を受けるプルキンエ細胞が有意に多いことを確認した。また、生後30日において、vesicular glutamate transporter 2 (VGluT2)の免疫組織学によって登上線維シナプス終末を可視化して解析したところ、Mef2d-cKOではプルキンエ細胞樹状突起への登上線維の伸展が軽度に障害されていた。HATに関しては、令和元年までに、複数のHATを同時にプルキンエ細胞でKDして候補を絞り込んだ。令和2年度は、個々のHATを単独でKDして、登上線維シナプス刈り込みに関与するHATの同定を目指した。その結果、2種類のHATが関与することを発見した。(2) プルキンエ細胞の活動によるDNAのメチル化の役割Dnmt1およびDnmt3bのプルキンエ細胞特異的ノックアウトマウスを確立し、電気生理学的解析を行ったが、いずれも登上線維シナプス刈り込みは正常であった。一方、Dnmt3aとDnmt3bのダブルノックアウトマウスを樹立して電気生理学的解析を行ったところ、登上線維シナプス刈り込みが有意に障害されていた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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