研究課題
1)液性免疫応答の加齢変化におけるBach2の関与前年度の計画の中で、加齢マウスに現れるBリンパ球集団(加齢関連Bリンパ球)を解析したところ、Bach2の発現が有意に低下し、さらにBach1/Bach2ヘテロノックアウトマウスやホモノックアウトマウスでは加齢関連Bリンパ球の出現がより早期に認められることを見いだしている。そこで、Bリンパ球特異的Bach2ノックアウトマウスを作製し、加齢関連Bリンパ球の出現がBリンパ球におけるBach2の機能異常である可能性を調べた。さらに、この過程に関わることが想定されたBach2標的遺伝子かつクロマチン構造制御に関わるPC4について、Bリンパ球特異的ノックアウトマウスを作製した。そのB細胞はB細胞特異的遺伝子発現を維持できず、非B細胞遺伝子を発現することを見いだした。2)造血幹細胞加齢におけるBach1およびBach2の関与昨年度までの研究から、Bach1およびBach2の二重変異マウスでは貧血が生じ、造血幹細胞・前駆細胞の分化方向が赤血球からミエロイド細胞(マクロファージや顆粒球などの自然免疫系細胞)へと偏向することを見いだした。Bach2ノックアウトマウスで生じるサイトカインストーム様変化を取り除いた形で造血系幹細胞の機能変化を調べるため、Bach1/Bach2/Rag2の三重欠損マウスを作成し、赤血球分化能低下が回復するか調べた。結果は、サイトカインストームの影響を否定できないものであった。二重変異幹細胞の移植実験では赤血球造血低下が観察された。したがって、Bach1およびBach2の二重変異マウスで観察される貧血は、幹細胞内在性の異常とTリンパ球で生じるサイトカイン過剰産生の影響が組み合わさったものと考えられた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Cell Reports
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