研究課題/領域番号 |
18H04023
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤本 豊士 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (50115929)
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研究分担者 |
大崎 雄樹 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (00378027)
辻 琢磨 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40725628)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪滴 / 核膜 / オートファジー |
研究実績の概要 |
1)核内脂肪滴について:前年度までの研究により、肝細胞では、リポタンパク質前駆体がつくる小胞体内腔の脂肪滴が内核膜の破綻部を通り抜けて核内脂肪滴となること、またそのようにして形成された核内脂肪滴にホスファチジルコリン合成の律速酵素であるCTP:phosphocholine cytidylyltransferase (CCT)が結合して活性化されることを明らかにした。今年度はリポタンパク質形成能を持たない細胞について検討し、内核膜に分布するトリグリセリド合成酵素によって核内脂肪滴が形成されること、また内核膜での核内脂肪滴形成には細胞質脂肪滴の形成に重要な機能を担うセイピンが関与しないことを見出した。非肝細胞での核内脂肪滴はホスファチジルコリン合成に与える影響は小さく、肝細胞の核内脂肪滴とは形成機序だけでなく、機能的意義も異なることが示唆された。 2)オートファジーで形成される脂肪滴について:飢餓によってオートファジーが誘導された細胞で新たに形成される細胞にはCCTが集中し、ホスファチジルコリン合成を活性化することを見出した。隔離膜・オートファゴソームはこのような脂肪滴の直近で形成され、またCCTをノックダウンするとオートファジー活性を長時間にわたって維持することができなくなった。これらの結果は飢餓時に形成される脂肪滴がCCTをリクルートしてホスファチジルコリン合成を活性化することによって隔離膜・オートファゴソームの形成を促し、オートファジーの継続に重要な役割を担うことを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)核内脂肪滴の形成について、肝細胞とそれ以外の細胞では核内脂肪滴形成の機序が異なることが明らかになり、また機能的意義の違いを示唆する結果を得ることができた。 2)オートファジーで形成される脂肪滴の機能的意義を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)核内脂肪滴について:今回の研究で明らかになった分子機序を手掛かりとして、非肝細胞の核内脂肪滴の形成を操作し、その機能的意義の解明を進める。 2)オートファジーで形成される脂肪滴について:脂肪酸負荷で形成される脂肪滴との違いを網羅的に解析し、詳細な機能的意義の解明を行う。
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