研究課題
抗PD-1抗体による抗腫瘍効果は、メトホルミンとの併用により増強されるが、そのメカニズムの一つとして、腫瘍浸潤CD8T細胞(CD8TIL)の著しい増殖反応とIFNγ産性能の上昇を認めている。CD8TILの増殖反応は、Nrf2依存性のmTORC1活性化、及びp62を介したmTORC1依存性のNrf2活性化、即ち、Nrf2/mTORC1/p62 axisによるpositive feedback loopの存在によってもたらされる。一方でCD8TILの解糖系の上昇を認め、これによりIFNγ産生上昇が起こる。CD8TILにおける反応はミトコンドリア活性酸素(mtROS)の阻害剤mitoTEMPOにより完全に消失する。これらの実験結果はCD8TILのex vivoにおける解析で明らかにされたが、全く同様の事象はin vitro においてCD3/28刺激を加えて増殖したCD8T細胞においても観察された。従ってメトホルミンによる効果はCD8T細胞に対する直接効果であると結論づけられた。メトホルミンによる解糖系増強とIFNγ産生上昇は、単にCD8T細胞のCD3/28刺激効果を促進(解糖系に依存)するだけなのか、或いは質的に代謝のあり方に変更を加えているのかにつき解析を行なった。その結果、培養液中のグルコース濃度が3mM以上の場合には単純に解糖系に依存するが、3mM未満になると脂肪酸酸化とオートファジー/グルタミノリシス経路が作動し、解糖系をバイパスする形でIFNγ産生上昇に繋がることがわかった。CD8TILでは解糖系及びクエン酸回路の両方に依存していた。従って、CD8T細胞に対するメトホルミンの直接効果は、周囲の栄養状態はもとより腫瘍の特殊な微小環境に対してもflexibleな影響を与えうると考えられた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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