研究課題/領域番号 |
18H04042
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 隆弘 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70546465)
|
研究分担者 |
酒井 康成 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10380396)
葛巻 直子 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (10507669)
吉川 武男 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 室長 (30249958)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | ミクログリア / iPS細胞 / 直接誘導ニューロン / 直接誘導ミクログリア様細胞 / 再生医学 |
研究実績の概要 |
iPS細胞作製技術の応用としてヒトiPS細胞由来のニューロンやグリア細胞を用いた脳疾患モデル細胞研究が進歩しているが、細胞初期化による影響や作製まで数ヶ月を要するなど幾つかの限界がある。 研究代表者は、(1) ヒト末梢血単球から2週間で誘導可能な直接誘導ミクログリア様 (iMG)細胞を独自に開発し、(2) ヒト皮膚線維芽細胞から2週間で作製可能な直接誘導ニューロン(iN)細胞の作製技術を改良し、1週間以内 に誘導可能な早期iN細胞の技術開発に成功し、(3) さらにこうした技術を用いて、精神神経疾患の様々な臨床データを取得解析する橋渡し研究 システムを大学病院に構築した。 本研究では、精神神経疾患患者から疾患モデル細胞としてのiMG細胞およびiN細胞を作製し、生きた細胞でし か評価しえない項目を測定し、臨床症状との相関解析などにより、疾患特異性を検出し、ダイナミックな細胞レベルでの病態解明を進めてきた。第3年度は、30名以上の患者から、臨床データの取得とともに、血液および一部は皮膚を採取し、iMG細胞およびiN細胞を作製し、一部はiPS細胞由来神経を作製し、その解析を進めた。発達障害および認知症関連の患者由来の神経およびミクログリア様細胞において特異的な反応特性を萌芽的に見出した。 特に、レックリングハウゼン氏病(NF1)患者より作製したiN細胞において、cAMP経路を促進するフォルスコリン投与により神経形態がダイナミックに進展することを発見し、Neuropsychopharmacology Reports(Sagata et al.)に報告した。この知見は、将来的な発達障害の早期発見による栄養療法等の治療提案を考える上での重要な発見であると私たちは考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由 すでに、現時点で、特定の疾患をもつ患者でのiMG細胞およびiN細胞で特徴的な表現型を見出しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、神神経疾患患者から疾患モデル細胞としてのiMG細胞およびiN細胞を作製し、その病態機構を探ってゆく。
|