研究課題/領域番号 |
18H04048
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 潤 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50335288)
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研究分担者 |
佐藤 守俊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00323501)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 病態モデル / 病態解析 / 不整脈 / 3次元組織 |
研究実績の概要 |
ヒトにおける不整脈そのものの病態再現研究は、技術的に不可能であったことにより全く進んでいない。研究代表者らは最近、ヒトiPS細胞を用いた3Dミニ心臓 組織を用いてTorsade de Pointes (TdP)不整脈の再現に成功し(Kawatou, Nat Commun, 2017) 世界初のTdP再現in vitroモデルを構築した。同成果を背景に、「不整脈の発生を恣意的に制御しながら眼下に再現し、根源的病態理解をもたらせないか」という問いに答えるべく、TdP再現で得られた種々のノウハウをもとに 様々な新しい不整脈の病態モデルを作製し、致死性不整脈の発生機構を新たな視点・方法で解析・理解することにより、新規治療法の開拓に結びつけることを目 的とする。 1) 心室細動(Vf)など新たな致死性不整脈再現in vitroモデルの開発 研究代表者らのTdP発生モデルにおいては、TdPの発生からVfへの移行は認められず、 これは臨床像とは異なりこのIn vitroモデルにおいて欠落している要素があることを示唆する。それを培養下において再現し、細胞収縮の脱同調が誘発されるか 検討する。おもにTdPと同様に細胞外電位波形と細胞動態により解析する。 当該年度は、Vfにおいて誘発されると考えられる様々な生理的条件について、細胞培養において再現することを試みた。完全にVfと評価しうる不整脈の発生の実現には至らなかったが、従来のTdP発生時とは異なる多彩な不整脈像を認め、培養条件の制御により不整脈の病態を変化させられる可能性が示された。 2) 心筋梗塞モデル・線維化モデルなど新しい病態モデルの開発 オプトジェネティクスによる新しい遺伝子発現制御が可能なヒトiPS細胞の樹立を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)心室細動(Vf)において誘発されると考えられる様々な生理的条件について、細胞培養下において再現することを試みているが、まずは「低酸素状態」を再現を目指し、低酸素状態にしながら不整脈発生をモニターできるようになった。さらには電解質やQT時間など他のパラメータも操作しながら、細胞外電位波形と細胞動態により解析を進めた。完全にVfと評価しうる不整脈の発生の実現には至らなかったが、従来のTdP発生時とは異なる多彩な不整脈像を認め、培養条件の制御により不整脈の病態を変化させられることが示され、Vf再現への可能性が広がっている。2)心筋梗塞モデル・線維化モデルなど新しい病態モデルの開発では、オプトジェネティクスによる新しい遺伝子発現制御が可能なヒトiPS細胞の樹立を進めている。iPS細胞において光照射による遺伝子発現が得られない場合があるなどの問題の解決にあたり、研究推進に有用な細胞株の樹立を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、様々な生理条件が再現可能となってきたので、それらを組み合わせながらVf条件に近い状況を作り出し、TdPに加えてVfなどの新たな不整脈が発生しないか検討する。また、光反応性遺伝子発現を制御しうるヒトiPS細胞 株を樹立し、細胞への種々の機能修飾を試みる。
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備考 |
京都大学 iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門 山下研究室 研究概要 https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/yamashita_summary.html
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