研究課題/領域番号 |
18H04050
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
北風 政史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究開発基盤センター, 部長 (20294069)
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研究分担者 |
山崎 悟 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70348796)
塚本 蔵 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80589151)
高島 成二 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90379272)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ミオシン調節軽鎖キナーゼ |
研究実績の概要 |
cMLCK特異的阻害剤を開発するために低分子化合物ライブラリー(約20万化合物)を用いてハイスループットスクリーニングを実施し、cMLCK活性を50%以上阻害する化合物を112個同定した。次に、これら112個の化合物に対して特異性を評価するために他のキナーゼを用いてカウンターアッセイを実施し、cMLCK特異的に阻害作用を有する化合物は34個であった。更に、これらに対して濃度依存的阻害作用の確認を実施し、濃度依存的に阻害作用を発揮した25化合物について、phos-tag PAGEを用いて実際に基質のリン酸化が低下することを確認した。
cMLCK特異的阻害剤とcMLCKの共結晶構造解析を行うためにまず、cMLCKの大量精製および単分散条件の検討を行った。Sf21昆虫細胞にバキュロウイルスを用いてcMLCKを10Lの大量精製培養システムを構築し、cMLCKを大量に安定して発現させることができた。次に精製したcMLCKの単分散条件について検討した。His tagおよびFlag tagを用いてsequentialにaffinity精製を行った後、ゲルろ過で単分散を確認したところ、ほとんどの蛋白質はvoidに回収され、凝集してしまっていることが確認された。そこで、精製時における界面活性剤の種類と濃度、塩の種類と濃度、キレート剤等の条件を振り、単分散条件の検討を試みたが、上手く行かなかった。そこで活性に影響しない程度にcMLCKのN末端を欠損させていき、それぞれについて単分散を観察した結果、最終的に単分散するN末端欠損cMLCKを得ることが出来た。また、cMLCKの結合蛋白質であるカルモジュリンも大腸菌のシステムを用いて構築し、大量精製に成功した。これらcMLCKとカルモジュリン蛋白質を混合し複合体を形成させた後、ゲルろ過を実施したところ、推測される分子量の高さに単分散して回収できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイスループットスクリーニングを終了し、primary hit化合物を得ることが出来た。cMLCKの単分散条件を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1)引き続き、力学的負荷(伸展、圧負荷)によるcMLCK活性の影響を検討する。培養心筋細胞に対して力学的負荷を与えて、cMLCK 活性とMLC2vのリン酸化状態の変化を観察する。 2)cMLCK特異的阻害剤の開発を継続する。実際に基質のリン酸化レベルを低下させた化合物を培養心筋細胞に対して作用させ、基質のリン酸化の減少、心筋収縮性抑制効果、および細胞内カルシウム動態への影響を確認する。 3)単分散したcMLCKとカルモジュリン蛋白質を大量精製する。さらに複合体を形成させた後、結晶化条件を検討していく。 4)肥大型心筋症を引き起こすサルコメア蛋白質の変異を導入した培養心筋細胞の系を構築する。
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