研究課題
HTSにて同定したヒトcMLCK活性を特異的に阻害する25系統の低分子化合物は、phostag PAGEを用いて実際に基質のリン酸化を低下させ、またラットおよびサルのcMLCKでも阻害活性を有する事を確認した。そしてこの中から2系統に絞って構造展開を実施したが、ATP競合阻害である事が分かったため、cMLCKの結晶構造を参考に構造展開を実施することとした。しかし、前回までに行ったcMLCKの結晶構造解析のデータでは、側鎖に関する情報が不十分であったため、cMLCKの結晶構造の更なる精密化を進め、構造のクオリティーの大幅な改善に成功し、現在はドッキングシュミレーションを行いながら構造展開を行っている。また、合成した化合物の効果を判定するための細胞の樹立にも取り組んだ。肥大型心筋症(HCM)を引き起こすサルコメア蛋白質の変異を導入したiPS細胞の樹立に取り組み、Myh7遺伝子に変異を導入したHCMモデルiPS細胞の樹立に成功し、さらに心筋細胞への分化に成功した。その他、HCMの原因遺伝子変異として最も頻度の高いMypbc3遺伝子の変異を有するHCMモデルiPS細胞由来心筋細胞の作製にも成功した。これらの培養心筋細胞で、HCMに特徴的とされるsuper-relax state/disordered relax state (SRX/DRX)比の低下と、収縮性の増加も確認できた。今後は、これらのHCMモデル心筋細胞に対する化合物の効果を判定する予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Vis Exp.
巻: 160 ページ: -
10.3791/61168