研究課題
本年度は、まず昨年度の検証で高い有効性が明らかとなった不織布構造ゼラチン基材(GHNF)の皮下前処置法の至適化をマウスモデルで実施した。皮下前処置期間を2週、4週、6週、8週とした各群に対し、マージナル量の同種同系皮下膵島移植を実施したところ、6週群の成績が他群よりも有意に良好である事が明らかとなり、その機序として新生血管の増強及び細胞外マトリックスの補填のバランスが前留置後6週間で最大となる事が判明した。次に昨年度までの本研究で有効な皮下前処置法である事が判明している脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)前留置とGHNF前留置の相乗作用について検証を行い、両者を組みわせる事でその効果は相乗作用を発揮し、皮下膵島移植の成績を現行の標準法である門脈移植以上へ押し上げる事が明らかとなった。また、当初の実験計画には組まれていなかったものの、これらの成果の実用化を鑑み、ADSC及びGHNFをマーモセットの皮下へ前留置し、そこへ初年度に至適化済みの免疫隔離細胞デバイスに包埋したラット膵島を移植しグラフトの糖負荷試験を実施したところ、前処置群においてグラフト残存率が高まる事が判明したが、グルコース応答性の維持にはまだ更なる改良が必要である事が示唆された。上記と並行し、本年度は開発細胞デバイスと皮下前処置法を肝細胞移植モデルにも適用し、膵島移植の場合と同様に免疫隔離能やアルブミン透過性を確認する事ができたが、肝細胞は膵島細胞に比し虚血障害に極めて脆弱であるため、多くの移植肝細胞が細胞デバイス内で壊死を引き起こす事が判明した。開発細胞デバイスを肝細胞移植へ応用するには、虚血障害に対する有効な対策が必須である事が示唆された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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