研究課題/領域番号 |
18H04058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
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研究分担者 |
八木 真太郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (60447969)
小林 英司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任教授 (00245044)
伊佐 正 京都大学, 医学研究科, 教授 (20212805)
羽賀 博典 京都大学, 医学研究科, 教授 (10252462)
政野 裕紀 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (50806718) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異種移植 / in vivo bioreactor / 肝再生 / 肝移植 |
研究実績の概要 |
本研究では異種動物であるブタを免疫抑制状態にして(operational SCID pig)、in-vivo bioreactorとしてヒトの肝臓を再生させることができるかという問いを確かめるために、サルの小さな部分肝をブタに移植し1週間で再生を図り、ブタ体内で、移植可能な再生臓器(ニホンザルの肝臓)を作成することを目的としている。 平成30年度にはまず脾臓、胸腺を摘出し、術前にミコフェノール酸モフェチルとタクロリムス、プレドニゾロンにて免疫抑制したoperational SCID pig(体重25-30Kg)を7頭作成し、それぞれニホンザル(体重5-10Kg)から摘出の肝臓を異所性に移植した。そのうち2例で他の異種大動物(preliminary studyとしてビーグル犬で行なっている)では抑えることの出来なかった異種間の超急性拒絶反応を抑制することができ、1週間の間、ブタ体内でニホンザルの肝臓が生着していることを、確認することができた。しかし、軽度の液性拒絶反応が認められたことと、異所性移植であるため門脈血流の不均衡が起こりグラフト肝に十分な血流を流入させることが困難であった。そこで免疫抑制剤の調整(増量)を試みるため、ニホンザルによる移植実験をその後5頭に免疫抑制剤を増量し、自己肝への門脈血流をbanding により調整して移植手術を行った。ところが移植後の高い侵襲と免疫抑制剤の影響、あるいは自己肝とグラフト肝の門脈血流不均衡などにより長期生存することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植したニホンザルの肝臓に軽度の液性拒絶反応が認められたことと、異所性移植であるため門脈血流の不均衡が起こりグラフト肝に十分な血流を流入させることが困難であったこと。そこで免疫抑制剤の調整(増量)を試みるため、ニホンザルによる移植実験をその後5頭に免疫抑制剤を増量し、自己肝への門脈血流をbanding により調整して移植手術を行った。ところが移植後の高い侵襲と免疫抑制剤の影響、あるいは自己肝とグラフト肝の門脈血流不均衡などにより長期生存することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はさらに(1) 至適免疫抑制剤の調整と(2)肝再生に必要な門脈血流調整をブタ―ブタ間の同種移植を行うことにより決定する。また移植手術の侵襲が高いため、operational SCID pig作成からの期間を十分にあけて、ニホンザルの肝臓を移植する実験を行うことでレシピエントブタへの負担を軽減して十分に1週間生存できるようにしたいと考える。肝再生のための至適門脈血行動態がブターブタ移植により確認できたら、それをサルーブタ移植に適応して本研究の目的を達成したいと考える。
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