研究課題/領域番号 |
18H04065
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤岡 正人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70398626)
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研究分担者 |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00169179)
細谷 誠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30645445)
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科科, 講師 (40338140)
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60160694)
岡野 ジェイムス洋尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90338020)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 内耳再生 / 耳科学 / 聴覚医学 / 霊長類研究 / 橋渡し研究 |
研究実績の概要 |
小型霊長類コモンマーモセット内耳の発生について、30余の標的に対する抗体染色を、胎生期の複数のタイミングで施行し、齧歯類との相違について詳細に検討した(FEBS J. accepted)。難聴患者からの疾患iPS細胞は本年度1年間で8症例から樹立、本研究チームで27症例の難聴由来iPS細胞を有している。3疾患で病態解明を進めており、原因遺伝子の発現パターンや細胞生物学的特性について、患者由来細胞と健常者由来細胞とで比較検討している。成熟した内外有毛細胞を作り分けて大量に分化誘導するプロトコルと、内耳幹細胞を既報よりさらに効率よく正確に再現するプロトコルを樹立し、2件を国内特許出願準備中である。Pendred症候群の解析のために、特異度、S/N比ともにこれまでよりも格段に優れたヒトPENDRIN抗体を作成した。本疾患のiPS細胞創薬の治験についての非臨床研究論文の2本目と(Neurosci Lett, Dec 2019)プロトコル論文を出した(Medicine, accepted)。国際共同研究により中国や台湾で頻度の高い変異を有したPendred症候群患者iPS細胞の樹立解析を行い報告した(Stem Cell Res, Oct 2019) 霊長類難聴モデル研究では、神経走行に関するテンソル画像を含めた聴覚系の詳細な解剖を報告した(Front Neurosci, Jun 2019)。昨年度に成体の蝸牛支持細胞においてマーモセット蝸牛ではマウスと異なり多数の幹細胞マーカーが発現していたことを発見していたが、今年の胎生期のデータやiPS細胞由来内耳幹細胞のデータからも、細胞分化や幹細胞性に関与する遺伝子発現セットについて、霊長類と齧歯類に種差がある可能性が示唆された。 多くのデータを国内外で精力的に学会発表し、日本耳科学会賞受賞など、対外的に高く評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進行しており、予定通り引き続き検討を進める。遺伝性難聴患者iPS細胞由来内耳細胞を用いた解析から見出された知見については、将来の臨床応用、社会実装に向けて、知的財産や出口戦略も含めての総合的な戦略を練りつつ進めていく。研究の過程で得られた新規手法については、その新規性、進歩性を鑑みて適宜知的財産を取得する方針であり、本年度の結果に伴う国内特許出願を来年度には終える予定である。
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