研究課題/領域番号 |
18H04070
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 英樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50317682)
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研究分担者 |
飯塚 敏晃 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00406810)
松居 宏樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70608794)
合田 和生 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80574699)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人口高齢化 / 社会保障負担 / 疾病負担 / 将来推計 / ミクロシミュレータ |
研究実績の概要 |
本年度は予定どおり、昨年度までに開発した高齢者疾病将来ミクロシミュレータに、学歴による影響を取り込むことに成功した。学歴による死亡率の推計を国勢調査・死亡個票データリンケージから推計したものを、既存の移行確率フレームに組み込み、学歴別有病割合については、国民生活基礎調査2010,2013、2016個票を用いて、両者についてadditive assumptionほか、いくつかの仮定を置いて結合し、移行確率テーブルを作成した。またこれに基づいて、65歳以上人口の年齢・性・学歴別の健康状態プロファイルを2013-2040について3年ごとに作成したものを用いて、work health capacityモデルを参考に、国民生活基礎調査個票で就労確率(フルタイム・パートタイム別)を11疾病ならびに心理的ストレス・自覚的健康状態・ADL+年齢・学歴でprobitで推計計算したものを外挿し、2040年までの就労者数推計を得た。これに2011-2015年までの就労基本調査から得られた年齢・性・学歴・就労形態別賃金推計を掛け合わせることで、高齢者就労による労働所得の総規模を求めたところ、2016年推計値に比べ(約40兆)、2040年推計は2016年値換算で43兆円に達し、就労人口そのものは1160万人から1100万人に減少するものの、一人当たりの生産力が向上することが示唆された。一方、健康状態の改善により得られる限界増分に比べ、女性高学歴層を中心とした雇用確率の向上などによる限界増分が大きいことが得られた。なお初期のミクロシミュレータの開発経緯とその成果についてははHealth Econに、またデータリンケージによる学歴別死亡率推計についてはSocial Science and Medicine Population Healthにそれぞれアクセプトされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に政府統計個票の入手が統計法改正やコロナ禍などの影響を受けて遅れていたが、モデルの構築を急ぎ、妥当性検証なども含めて、当初予定していた計画進行にほぼ追いつくことができた。
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今後の研究の推進方策 |
認知症やフレイルについても推計を追加したうえで、最終年度となる2021年度は政策シナリオ(健康改善、女性を中心とした雇用促進など)をいくつか想定し、仮想政策シナリオによる医療・介護費、就労所得総額への影響を検討し、論文発表による社会還元を図る予定である。
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