研究課題
本研究事業は4年間の研究期間を通じて高齢者将来疾病・機能状態シュミレーターを拡張することで1)高齢社会の社会保障費用と就労・所得による財政貢献のネットのインパクトを推計する、2)仮想政策シナリオ(引退年齢引き上げ、医療技術による健康寿命の延長など)のインパクトを検討する、3)米英(Goldman, et al. 2009など)を中心に比較研究を行い、高齢社会における人的資本のマクロ経済影響の将来推計を、ミクロシミュレーターで検討する枠組みを構築することを目的とした。このうち3の国際比較研究はコロナ禍の影響を受け、実施延期とせざるをえなかった。最終年度では高齢者の機能・社会保障費用に大きく影響する認知症・フレイルについても検討できるよう、モデルを拡張し、その成果を論文として公表することができた(Kasajima,et al. Lancet Public Health 2022)。疾病と就労・納税などによる財政貢献のネットインパクトについては、health work capacityモデルを用いて高齢者の就労率を推計した結果、2040年代に40兆円規模の労働市場の形成に寄与することが示され現在投稿準備中である。Net valueの計算については、Harvard UniversityのCutler教授らによる新たな研究が発表されたことを受け、同グループのStanford UniversityのEggleston博士と議論し、米国における推計との整合性を図るよう調整中である。仮想シナリオ検討では、健康状態・機能状態の変化が与える費用増分は限定的である一方、高学歴女性の就労率による所得影響が大きいことが明らかとなった。将来疾病・機能状態・就労状況シュミレーターを、コロナ禍による機能低下(フレイル・認知など)の影響を検討する基盤として、新たな研究展開を図る所存である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
The Lancet Public Health
巻: 7 ページ: e458-e468
10.1016/S2468-2667(22)00044-5.
Health Econ.
巻: supple1 ページ: 30-51
10.1002/hec.3986.