研究課題
近い将来に日本人の殆どが近親者の死別を経験する。その悲嘆は生産性と医療福祉を脅かす更なる財政危機が迫っている。その課題の要因を証すべく、3年に亙る遺族調査を行ってきた。80項目に及ぶ調査の中、遺族と故人の関係を詳しく確認した上、喪主の悲嘆や健康、仕事や日常生活における影響、医療・薬剤・福祉依存と経費、葬儀の詳細と葬儀に対する満足や不満を調査した。合計1433名もの完全回答により、様々な統計学的分析ができた。またその自由解答欄により、僧侶や葬儀社のサポートも垣間見ることができた。つまり医療・薬剤費を使わなくても葬儀業界や宗教者などが遺族の悲嘆治癒に貢献できる可能性が注目されている。仮設通り、死別悲嘆が深刻な程に遺族の病欠や精神的・身体的な疾患が増え、より多くの医療費がかかる傾向にあった。日本人遺族の1割が死別後、より多くの医療や薬剤を頼るようになる事を証明した。十年間の内に、一千万人以上の遺族が数兆円の医療費負担を国費にかける計算となる。葬送儀礼に不満を抱え、死を受け入れられない遺族ほど、精神的・身体的な不調をきたし、医療福祉に依存する傾向が見られた。直葬や略式葬を行った遺族に比べて、葬儀社と良く相談し、伝統的な葬儀・法要を行った遺族は医療や精神面の支援を頼る傾向が低く、薬剤やカウンセリング費用も低く抑えられていた。逆に、葬儀への不満に応じ、身体的な悲しみの症状、薬剤費の増加、医療の利用の増加が見られた。自由解答の中「葬儀社の丁寧な相談で助かった」「自殺しようと思ったが、葬儀者に救われた」などの回答が印象的で、葬儀社の賢明な介入が垣間見られる。なお、二年も経ってから、僧侶や葬儀の費用に関する不満が下がる事も興味深い。つまり、僧侶や葬儀社の接客相談を丁寧に改善できれば、億兆円単位の医療費の節約ができるのみならず、遺族がより元気に積極的に社会参加を続けられるであろう。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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